敗因分析が続く民主党_復活の道はあるか?

先般の大統領選挙でのカマラ・ハリス副大統領の敗北を受けて、民主党幹部のコメントがメディアでも紹介されているが、ナンシー・ペロシ前下院議長(民主党)のコメントが出ていたので、以下、取り上げたい。

 
 
 
 
 

119日のリベラル系メディアのAxios

Hindsight 2024: Pelosi questions Biden’s handling of Harris endorsement”

という記事では、ナンシー・ペロシ氏による敗因分析に係るコメントを紹介している。

同記事では、ペロシ氏は

「もしバイデン大統領がもっと早く辞めていたら、他の候補者が選挙戦に加わっていたかもしれない。」

ザ・インタビュー“のポッドキャストで語ったとし、

「バイデン大統領がカマラ・ハリス副大統領をすぐに支持したことで、その時点で予備選を行うことはほとんど不可能になった。 もっと早い時期だったら、違っていただろう。」

と述べた報じている。

ここで、今年の夏のバイデン大統領に係る民主党内の舞台裏を振り返ると、同記事では、

7月にバイデン大統領が辞意を表明してから24時間以内に、ハリス副大統領を候補者とする機運が高まる中、ペロシ氏はハリス副大統領に 熱烈な支持 を申し出た。」

と述べる一方で、

「しかし、バイデン大統領の爆弾発言に至るまで、民主党のエリートたちは、ハリス副大統領の支持に結集するか、あるいはミシガン州知事のグレッチェン・ウィトマー氏、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏、ペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロ氏のような人物を含む、ある種の“ミニ予備選”を実施するかについて議論していた。」

と報じているが、

「ほとんどの民主党幹部は、この案は危険すぎると考え、(ペロシを含め)ハリスの指名に異議を唱えたり、バイデンの支持を批判したりする者はいなかった。」

と当時のハリス副知事に落ち着いた経緯を披露している。

もっともペロシ氏がある面ずるいところは、ペロシ氏がリアル・タイムでそのような懸念を抱いていたとしても、公にはしなかった点である。

私は以前から、ハリス副大統領が民主党の米国大統領候補に選出される過程に問題はあったと指摘して来た。

結果として、ハリス副大統領が候補者となったとしても、前述の民主党内の有力候補者とのディベートは聴いてみたかった。

民主党支持者の意見が十分反映されない形で決めたことに、もやもやとした不満は間違いなくあったと思われる。

さて、米国の大統領選挙がひと段落して、民主党サイドから次々と舞台裏の話が出ているが、その内の1つを紹介したい。

119日のNew York Post

Biden’s internal polling had Trump winning 400 electoral votes, ex-Obama official claims: ‘Catastrophic mistake’”

と言う記事の中で、かつてオバマ前大統領のスピーチライターを務め、現在はリベラルなポッドキャスト“ポッド・セーブ・アメリカ”のホストを務めるジョン・ファブロー氏が

「バイデン陣営がハリス陣営になった時、バイデン陣営が最強の候補者だと言っていた当時の内部世論調査で、ドナルド・トランプ前大統領が400人の選挙人を獲得するという結果が出ていたことがわかった。」

ことを明らかにしたと報じている。

実際、夏に至るまで、支持率を見ていると、トランプ前大統領がバイデン大統領を数ポイント上回っていたのは事実であるが、ここまでの差が民主党の内部調査で明らかになっていたとすると、バイデン大統領がCNN主催のディベートでのパフォーマンスが酷く、結果としてこれを契機に2024年大統領選挙から撤退を発表したことに表向きはなっているが、内情はバイデン大統領でこの大統領選挙を戦えるような状況には既になかったとも言えるのではないだろうか。

では、何故、民主党は2020年に就任当時から、バイデン大統領の認知力については問題視されていたと言うのに、もっと早い時期でのハリス副大統領への交代を行わなかったのだろうか。

これには2つの理由があると推察される。

1つは、これまでの米国の政治・外交は米国の大統領が主導して決めていたのではなく、選挙で選ばれていない官僚を中心とした人達(これを、“ディープ・ステート”と呼ぶこともある)が動かして来ており、バイデン大統領は神輿に担ぐにはとても都合が良かったと言うこと。

もう1つは、ハリス副大統領は、能力、知見や行政能力で副大統領に選ばれたのでなく、左翼・リベラル派が重要視するDEI方針の観点から選出されており、残念ながら、ハリス副大統領はこの四年間ほぼ何も無いことが物語っているほど、能力が乏しかったからである。

さて、小職の知人のリベラル派の彼女は、勿論、今回はカマラ・ハリス副大統領に投票して、現在、深い悲しみと絶望の中いるが、前述のペロシ氏のコメントを含んだAxiosの記事を見せたところ、

「何を今さら、ペロシ氏は言っているのか?老兵は直ちに民主党の運営から立ち去り、もっと若い優秀な人材で民主党を再生して、2028年の大統領選挙でホワイト・ハウスを奪還して欲しい。」

と言っていたのが印象的だ。

しかし、民主党の中に、2028年の大統領選挙で、ホワイト・ハウスを奪還出来るような、有力な候補者は果たしているだろうか。

前述のAxiosの記事に出ていた、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィトマー氏やカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏の名前はよく耳にするが、この両知事は左翼・リベラル派の典型であり、今回の米国大統領選挙の結果を見ると、幅広い有権者からの支持を得られるような印象は全くない。

一方、今回、一時は民主党の副大統領候補にも名前が挙がったペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロ氏は、社会的なリベラル政策を支持する一方で、経済政策や外交問題では中道寄りの立場をとることが多く、彼の政治スタイルは、「物事を成し遂げる」ことを重視し、必要に応じて党派を超えた協力を模索する実用主義的なアプローチが特徴的であるとも言え、今後が楽しみではある。

しかしながら、民主党内の党内事情で、当初有力と言われたシャピロ氏は副大統領候補には選ばれず、極左・リベラル派のミネソタ州知事のティム・ウォルツ氏がハリス副大統領のパートナーを務めるに至った。

現在の民主党の主流は、中道派ではなことから、この状況続く限り、民主党復活の道は長い道になりそうかもしれない。

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