国際刑事裁判所がイスラエル首相らに逮捕状準備か

複数のメディアが、「イスラエルのメディアは、国際刑事裁判所(ICC)がベンヤミン・ネタニヤフ首相を含む高官に対する逮捕状の発付を検討している」との示唆を政府が法務関係者から受けたと報じている。

それによると、ICCは現在、占領下のヨルダン川西岸地区とガザ地区におけるイスラエルの行動を調査している。

イスラエルのカッツ外相は4月28日に、ICCが近く、政府および軍の高官に対し逮捕状を発行する可能性があるという報道について、そのような状況にならないことを期待するとし、「われわれが頭を下げることはない。戦い続ける」と言明した。(Reuter)

親イスラエルの米国政府は、ICCの動きに機敏に反応している。(注: 米国は、ICCには加盟していない)ホワイトハウスは、マイク・ジョンソン下院議長(共和党)が4月29日(月)の声明で、バイデン政権に対し、報道された逮捕状に異議を唱えるよう求めた後、ICCの調査に反対を表明し、そうしなければ、ICCは “アメリカの政治指導者、アメリカの外交官、アメリカの軍人 “に対して逮捕状を発行する前例のない権限を持つことになると警告した。(Forbes)

ICCは両党の議員らから、イスラエル高官に対する逮捕状は米国の報復を受けるだろうと警告されており、その趣旨の法案はすでに準備中であることがAxiosの調べで分かった。

米国による、ICCの制裁は有り得るのかと調べてみると?米国とICCの間では過去にも制裁の事実があることも分かった。その内容な以下の通り。

  • 米国は長年にわたってICCを批判しており、特にアフガニスタンでの米軍による戦争犯罪疑惑に対するICCの調査に関連して、「米国人をICCの管轄下に置こうとする不法な試み」を非難してきた。

  • 2020年9月、米国政府はICC高官2名、ICC首席検事ファトゥ・ベンソーダ氏とICC管轄・補完・協力部門責任者のファキソ・モチョチョコ氏に制裁を課した。

  • この制裁は2020年6月にトランプ大統領が発令した大統領令に基づいて課されたもので、国家非常事態を宣言し、米職員の捜査に携わるICC職員に対する資産凍結や入国禁止を認めた。

  • この制裁ではベンソーダ氏とモチョチョコ氏を「特別指定国民」に指定し、彼らの資産を封鎖し、米国民が彼らと取引することを禁止している。また、捜査に関与するICC職員に対するビザの発給も制限する。

ICC はローマ規程によって設立された独立した国際司法機関であり、123 か国が加盟しており、この裁判所は、国際的に懸念される最も重大な犯罪を訴追するための最後の裁判所として機能することを目的としている。

このように過去にも経済制裁を行っている米国ではあるが、さすがにこれはやり過ぎではないのだろうか。ICCに対する米国の制裁は行き過ぎであり、傲慢で国際法の支配を損なうとみなされる可能性があるのではないか。

イスラエル、パレスチナ及びICCの三者には、過去からの経緯もあることも忘れてはいけない。

Washington Postによると、概略は以下の通り。

  • 2015年、パレスチナ自治政府がICCに加盟したことで、イスラエル政府関係者は激怒し、パレスチナの組織がICCに起こした行動は敵対行為と受け取られると脅した。イスラエルはまた当時、ハーグを拠点とする裁判所への資金提供を削減するよう同盟国に働きかけていた。

  • ガザ保健省によれば、イスラエルで約1,200人が死亡したハマスの10月7日の作戦と、ガザ地区で34,000人以上が死亡したイスラエルの軍事的対応の直後、ICCのカリム・カーン検察官は、ICCの管轄権の問題を取り上げた。

  • ガザとヨルダン川西岸で現在起きている事件も含め、「いかなる当事者によってパレスチナの領土で行われた犯罪も」、ICCの管轄下にあるとカーン氏は述べた

イスラエルはICCに参加していないので、ICCにはイスラエル及びイスラエル人を管轄する権利はない、イスラエルは主張している。

Reuterの報道によれば、ネタニヤフ首相は先週末、「自衛に対する基本的権利を損なうICCのいかなる試みも決して受け入れない」とし、「ICCの決定はイスラエルの行動に影響しないが、兵士や公人を脅かす危険な前例となる」と述べて、強く警戒している。

また、カッツ外相はさらに、イスラエルの大使館に対し「深刻な反ユダヤ主義」に直面するリスクがあるとし、警備を強化するよう警告したとされる。

ICCの逮捕令状は、過去にプーチン大統領に出されたものから見ても、これらイスラエル当局者の海外渡航を大幅に制限するもので、ICC加盟120カ国以上のいずれかで拘束される可能性がある。

そうなればイスラエルの国際的孤立はさらに深まるだろう。また、同盟今回の令状により、米国や欧州諸国などイスラエルの一部の同盟国が軍事協力や外交関与を縮小するなどの行動をとり、イスラエルがさらに孤立する可能性がある。

米国は、プーチン大統領の逮捕令状の際には、ICCの決定に上手く乗るようなスタンスであったかと思うが、イスラエルが当事者になると、全然違う態度で非難をしていることには正直呆れるが、ICCの逮捕令状の効果をよく認識していることの現れかとも理解できる。

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