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John Mearsheimer は今回のJudging Freedomのインタビューで、現在の米国外交・安全保障政策が「一貫した戦略」ではなく、場当たり的な軍事行動と混乱した交渉プロセスによって動かされていると強く批判した。番組冒頭では、米国によるイランへの軍事攻撃と停戦交渉が同時並行で進行している異常な状況が議論された。ミアシャイマーによれば、わずか数日の間に「空爆再開」「和平交渉再開」「合意間近」「再攻撃」という相反する動きが繰り返されており、政策決定に一貫性が見られない。彼は特に、ドーハでイラン側交渉団が協議している最中に米軍がイランの高速艇などを攻撃した点を問題視し、「停戦なのか戦争なのかすら判然としない」と述べた。また、通常であれば専門家チームによる秘密交渉で進めるべき案件が、実際にはトランプ大統領個人の発言と感情によって左右されているように見えると批判し、「これは交渉と呼べるものではない」と指摘した。

ミアシャイマーは、現在の米国・イラン交渉が成立困難である理由として、米国側要求とイラン側立場の根本的な不一致を挙げた。彼によれば、トランプが公に語る条件の多くは、イランにとって受け入れ不可能な内容であり、しかもそれが日々変化しているため、交渉相手としての信頼性が著しく低下しているという。彼は、外交とは本来「感情的な発信」ではなく、非公開の実務交渉によって積み上げられるべきものだと強調した。そのうえで、現在のワシントンでは、国内政治的パフォーマンスが外交そのものを支配してしまっていると分析した。

インタビュー後半では、ロシア・ウクライナ戦争のエスカレーションについて議論が移った。ミアシャイマーは、最近のロシアによるキーウへの大規模攻撃について、「プーチンが手袋を外した(本格報復に踏み切った)」可能性が高いと分析した。彼によれば、ロシア側は既に各国外交官へキーウ退避を促しており、今後さらに大規模なインフラ攻撃が続く兆候があるという。その背景には、ウクライナによるロシア本土へのドローン攻撃増加があると説明した。特に、2024年のクルスク侵攻や、ロシア戦略爆撃機基地への攻撃は、英国・米国の支援を伴う形で実施されたとし、「冷戦時代なら絶対に考えられなかった行動」だと述べた。

ミアシャイマーは、この状況が核抑止理論そのものの限界を示していると論じた。ロシアは世界最大級の核戦力を保有しているにもかかわらず、ウクライナ側はロシア本土攻撃を続けている。これは、少なくとも限定戦争の文脈では、核兵器が必ずしも十分な抑止力になっていないことを意味すると指摘した。一方で、彼はイラン問題に関しては逆の結論を導いている。もしイランが実際に核兵器を保有していたなら、米国やイスラエルは今回のような攻撃を行わなかったと断言した。その例として北朝鮮を挙げ、米国が北朝鮮を攻撃できない最大の理由は、韓国・日本・在日米軍への核報復リスクにあると説明した。つまり、彼の見方では「実際に完成した核抑止」は依然として極めて有効だが、ロシア・ウクライナ戦争のような曖昧な限定戦争では、その効力が弱まっているということになる。

さらに彼は、イランが核兵器を持たない代わりに、「ホルムズ海峡封鎖能力」という強力な非対称抑止力を持っている点にも言及した。以前は多くの専門家が「イランは本当に海峡封鎖できない」と考えていたが、現在ではその能力が現実的脅威として認識され始めていると分析した。ただし、それでもなお彼自身がイラン政策担当者なら、「草を食べてでも核兵器を保有すべきだ」と考えると述べている。これは、最終的に核兵器こそが外部からの軍事介入を阻止する唯一確実な抑止力だという、彼のリアリスト的安全保障観を非常に象徴する発言だった。

欧州情勢については、ミアシャイマーは現在の西欧エリート層が「ロシア脅威論」に強く囚われていると指摘した。東欧では歴史的にロシアへの恐怖が存在していたが、近年は西欧諸国でも「ロシアが欧州へ侵攻する」という認識が急速に広がっているという。しかし彼自身は、それを「現実離れした幻想」と断じている。ロシア軍はウクライナ東部攻略にも長期間苦戦しており、その状態で西欧侵攻など到底不可能だというのが彼の立場である。彼は、欧州エリートたちが現在のロシアを、冷戦時代のソ連のような存在として過大評価していると分析した。

また彼は、NATOの構造的弱体化にも言及した。米国は徐々に欧州から戦略的関与を後退させており、欧州諸国自身も十分な軍需生産能力を持っていない。そのため、仮に欧州が本気で対ロシア抑止を強化しようとしても、現実には兵器供給能力が追いつかないと説明した。一方で、ロシア国内では、欧州によるウクライナ支援継続に対して「NATO加盟国そのものを攻撃すべきだ」という議論が増えているとも紹介した。特に一部ロシア論者は、通常兵器だけでなく「限定的核使用」まで議論し始めているという。

番組後半では、カナダで開催された「Munk Debate」での Mike Pompeo と Victoria Nuland との討論内容が詳しく紹介された。ここでミアシャイマーは、「ネオコン」の基本思想を説明している。彼によれば、ネオコンは「米国は世界中の怪物(monsters)を退治すべきだ」と信じている。そして、その「怪物」とは、米国と利害が衝突する国家や、非民主的体制を持つ国家を指している。しかし問題は、その定義が極めて曖昧であり、結果として米国が際限なく軍事介入を繰り返すことになる点だと指摘した。

ミアシャイマーは、ネオコンが軍事力による「社会工学」を信じていると説明した。つまり、敵対国を武力で転覆し、親米民主国家へ作り変えることで、最終的には世界平和が実現できると考えているというのである。彼は、この発想がイラク戦争やリビア介入、イラン政策など一連の米国外交失敗の根本原因だと主張した。特に2003年の「ブッシュ・ドクトリン」は、イラク民主化を起点に中東全域を民主化するという極めて野心的な構想だったが、現実には地域崩壊と大量死を招いただけだったと批判した。

討論会の映像では、ポンペオがイランを「怪物」と表現し、「文明世界はそれを狩らなければならない」と語る場面が紹介された。これに対し、ミアシャイマーと Stephen Walt は、「そもそも戦争を始めたのは米国とイスラエルだ」と反論した。さらに彼らは、1953年のモサデク政権転覆、1980年代のイラン・イラク戦争でのサダム・フセイン支援など、長年にわたる米国の対イラン介入史を列挙した。つまり、イランだけを一方的な「悪」として描くのは歴史的事実を無視した議論だというのである。

ミアシャイマーは特に、ポンペオやヌーランドが討論の中で具体的証拠をほとんど示さず、感情論や嘲笑によって議論を進めていた点を問題視した。例えば、イランが2023年10月7日のハマス攻撃を事前に把握していたという証拠は公開情報には存在しないと指摘したにもかかわらず、ポンペオ側は反証を示さずに笑い飛ばすだけだったという。彼は、重大な外交・戦争問題を扱う場で、このような非論理的議論が行われていること自体が、現在の米国外交エリート層の危険性を示していると暗に批判した。

最後にミアシャイマーは、ウクライナ戦争の根源的原因として、NATO東方拡大と2014年ウクライナ政変への米国関与を再び挙げた。彼は特に Victoria Nuland が2014年の政変で重要な役割を果たしたと主張し、その政策が現在の戦争への道を開いたと述べた。そして、現在の米国外交は、イランでもウクライナでも、同じ「介入主義」と「政権転覆志向」に突き動かされており、その背後にはネオコン思想が存在しているというのが、今回のインタビュー全体を貫く中心メッセージだった。

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