モルドバのEU加盟の是非を問う国民投票及び大統領選の決戦投票の結果について_Update

旧ソビエト連邦共和国のメンバー国である、モルドバで大統領選の決選投票があったので、今回ご紹介したい。

 
 
 

モルドバでは、10月20日に大統領選挙(任期四年)とEU加盟を国家目標として憲法に明記することを問う国民投票が行われた。

10月22日のJETROのビジネス短信の“モルドバ、国民投票はEU加盟賛成が僅差で上回る、大統領選は決選投票へ”の記事によると、

「大統領選では、候補者11人のいずれもが過半数の票を獲得せず、決選投票に持ち越し。決選投票では、現職大統領で行動連帯党(PAS)のマイア・サンドゥ氏と、次点の親ロシア派で元検事総長、社会党(PSRM)から支持を得たアレクサンドル・ストヤノグロ氏が争う。

開票率99.32%の時点で、得票率はサンドゥ氏が42.31%、ストヤノグロ氏が26.09%だった。」

と報じた。更に

「モルドバ中央選挙管理委員会によると、総投票者数は156万2,238人。投票率は51.67%で、前回2020年の大統領選の第1ラウンド(42.76%)を大きく上回った。

首都キシナウでの投票率は54.13%(36万1,786人)、親ロシア派地域で独立国家を主張するトランスニストリア(沿ドニエストル)地域では1万6,131人が投票した。

大統領選の決選投票は、11月3日に実施される予定。」

と詳細な選挙分析を今後の末ケジュールを伝えた。

11月4日のFrance 24の

“Moldova pro-EU leader Sandu wins re-election despite Russian meddling allegations”

の記事を見ると、11月3日に行われた大統領選挙について、

「モルドバの親EU派のマイア・サンドゥ大統領が、緊迫した決選投票で親ロシア派のライバルを破り、「民主主義の教訓 」と称される勝利を収めた。」

と報じている。

また、選挙戦の詳細については、

「選挙管理委員会が公表したほぼ完全な投票結果によると、親ロシア派の社会党が支持し、サンドゥ氏が昨年検事総長を解任したアレクサンドル・ストイアノグロ氏の45.06パーセントに対し、サンドゥ氏は54.94パーセントの得票率であった。」

と伝えた。

一方、10月20日に行われた、EU加盟の是非を問うた国民投票については、10月22日のBBCの“東欧モルドヴァ、EU加盟の憲法修正に僅差で賛成 国民投票”の記事によると、

「旧ソヴィエト連邦構成国の東欧モルドヴァで20日、憲法を修正して欧州連合(EU)に加盟することへの是非を問う国民投票があり、賛成が僅差で反対を上回った。

21日午後の時点(開票率99.6%超)の公式集計では、賛成が50.46%、反対が49.54%だった。僅差の投票結果は多くの人々に衝撃を与えた。ルーマニアとウクライナに隣接する人口260万人のモルドバであった今回の国民投票は、賛成が反対を大きく上回ると予想されていた。」

と報じた。

11月3日に行われた大統領選の決戦投票との関連で見ると、前述のFrance 24の記事では、

「モルドバの親EU派のマイア・サンドゥ大統領が、緊迫した決選投票で親ロシア派のライバルを破り、「民主主義の教訓 」と称される勝利を収めた。

この選挙は、ウクライナに隣接する旧ソビエト連邦のEU加盟を支持する国民投票が僅差で決着したことを受けて実施された。」

と言う形で説明している。

11月3日に行われた大統領選の決選投票については、11月3日のRTも

“Pro-EU president declares victory in highly contentious election”

の記事で取り上げており、記者会見でサンドゥ大統領が、

「選挙結果を “歴史の教科書に載るに値する民主主義の教訓 “と表現した。」と伝え、「少数派のロシア語を話す国民に向けて、彼女は “みんなのための大統領 “になることを約束した。

“私たちは意見の相違があるかもしれないし、異なる言語を話すかもしれないが、私たちは皆、平和と相互理解、そして子供たちのための価値ある生活を望んでいる。”

とサンドゥ大統領が語った。」

ことを報じた。また、

「欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、サンドゥ氏に祝辞を述べるとともに、“モルドバとその国民のための欧州の未来に向けて、あなたとともに働き続ける。”ことを誓った。」

と言う談話も伝えた。

更に、RTの同記事では、

「サンドゥ大統領は、ロシアが選挙に介入し、不特定の“犯罪グループ”が票を“購入”しようとしていると非難している。

サンドゥの国家安全保障顧問であるスタニスラフ・セクリエウは、モルドバの法律では違法とされる“組織的な有権者の投票所への輸送”を監視員が指摘したとXに記した。」

と報じたが、

「ロシアは、外国からの干渉のすべての主張を根拠がないとして退けている。」

と言うロシア政府の主張も併せて伝えている。

モルドバには、モルドバ東部を流れるドニエストル川と、 ウクライナの陸上国境とに挟まれた南北に細長い地域に、親ロシア派地域で独立国家を主張するトランスニストリア(沿ドニエストル)地域と言う未承認国家があり、従来からロシア軍が駐留し演習等を行っている。

今回のEU加盟の是非を問う国民投票については、前述のFrance 24の記事では

「モルドバは深く二極化している。多くのディアスポラ(西ヨーロッパに住むモルドバ人を指す)と首都はEU加盟に賛成しているが、地方と親ロシア派の分離主義地域であるトランスニストリアとガガウツィア自治区は反対している。」

と報じている。

今後、モルドバはEU加盟基準を満たすために、特に司法、腐敗防止、人権保護などの分野で広範な改革を実施しなければならないと言われている。

また、前述のトランスニストリアに係る問題は、依然未解決であり、モルドバのEU加盟を複雑にしている。

更に、モルドバは、ロシアのエネルギーへの依存や経済再建の必要性など、経済的な脆弱性に直面しており、こうした経済的な課題も克服する必要がある。

こうした司法及び経済的な課題の克服を考慮すると、モルドバによるEU 加盟プロセスは、少なくとも2030年まで続くと予想されており、挫折や妨害の可能性を考慮すると、長い期間が必要となるものと見込まれる。

 
 

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