War in Ukraine_Update

ウクライナのゼレンスキー大統領はキエフでスロベニアのナタシャ・ピルク・ムーサル大統領と会談し、両首脳はウクライナの首都中心部にある「追悼の壁」に花輪を捧げ、戦死したウクライナ兵を追悼しました。

また、キエフでスロベニアのナタシャ・ピルク・ムサール大統領とともに記者会見したゼレンスキー大統領が、停戦に向けての包括的な計画について言及した。6月28日のEuronewsの“Volodymyr Zelenskyy says he is working on ‘comprehensive plan’ for peace in Ukraine”は、この記者会見での発言を以下のように報道しています。

  • ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、キエフがロシアとの戦争をどのように終結させるかについて「包括的な計画」に取り組んでいると述べた。

  • キエフでスロベニアのナタシャ・ピルク・ムサール大統領とともに記者会見したゼレンスキー大統領は、「我々はこの戦争を長引かせたくない。」と述べた。

  • 「本当に平和を望むすべての人々が協力し、ロシアによって侵害されたすべての安全保障面に対処するための行動計画を策定しなければならない」と、彼は金曜日にキエフで記者団に語った。

前述のEuronewsによると、ゼレンスキー大統領は6月27日(木)、ブリュッセルで開催されたEU理事会で、EUの指導者たちに対して、EUがキエフへの長期的な支援を約束する中で、同国への軍事装備提供の約束を果たすよう求め、同時に、数ヶ月で戦争を終結させるための「詳細な計画」を発表すると述べました。

ゼレンスキーとピルク・ムサールとの会談の焦点は、6月初めにスイスで開催された2日間のイベントに続く、第2回国際平和サミットの準備について話し合うことだと言われていますが、平和サミットに出席した全員が声明の文言に同意し、署名を拒否したわけではありません。インドやサウジアラビアなど一部の国々は、ロシアが欠席したことでサミット自体の効果が制限されたと述べています。

この記者会見の様子は、RTでも6月28日の“Zelensky preparing ‘plan to end war’”の記事の中で、以下のように報道されています。

  • 「戦場で強くなることと、明確な計画、詳細な計画を立てることだ。そして、それは今年中に準備できるだろう」と記者団に語った。

  • ゼレンスキーの大統領の発言は、木曜日にEUとの長期安全保障協定に調印し、EUに数年にわたる軍事・財政援助を義務づけた後のことだった。米国といくつかの同盟国は、キエフと別の援助協定を結び、「長期にわたって」キエフを支援することを約束した。欧米の外交官たちは、このような条約の目的は、11月のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝利した場合に備えてウクライナ政策を守ることだと公言している

ウクライナのロシアとの戦争での戦死者の数については、前述のRTの報道でも触れられていますが、「キエフはウクライナの死傷者数については口をつぐみ、代わりにロシア軍に多大な損害を与えたと主張している。

ロシア国防省によると、ウクライナは5月だけで3万5,000人の兵力を失い、紛争が始まって以来50万人近くを失っている。」と伝えています。

このウクライナ戦死者数については、Sputnik Japanがロシア国防省による、特別軍事作戦の概要を週次ベースで以下のように発表しています。

  • 6月29日の概要_ウクライナ軍は過去24時間で全ての方面で合わせて1,795人の人員を失った。

  • 6月22日~28日の概要_ウクライナ軍は過去1週間に合わせて最大1万3,820人の兵士を失った。

  • 6月15日~21日の概要_ウクライナ軍は1週間で最多で1万3,710人の人員を失った。

  • 6月8日~14日の概要_ウクライナ軍は過去1週間に合わせて最大1万2,795人の兵士を失った。

  • 6月1日~7日の概要_ウクライナ軍は過去1週間に合わせて最大1万1,140人を失った。

あくまでも、ロシア国防省の発表であることを認識しつつ、この6月の戦死者数を推計すると、最大で53,260人が亡くなったことになり、恐らくそれと同数程度の戦傷者がいるものと推定され、ウクライナでは5月に引き続き、多数の死傷者が発生していることになります。

ゼレンスキー大統領が、「我々はこの戦争を長引かせたくない。」と発言した背景には、こうした戦死者数の増加の中で、ロシアと戦争を継続することが人的リソースの面でも困難になっていることが推察できます。

一方、6月27日の米国大統領候補者討論会で意気上がる、ドナルド・トランプ前米大統領ですが、6月16日にPoliticoが“Trump threatens to cut US aid to Ukraine quickly if reelected”と言う記事の中で、トランプ前大統領のウクライナ施策について、「ウクライナに対する米国の支援規模を非難し、もし11月に再選されれば、即座に “決着をつける “」と述べたことを伝えています。

更に、同記事では、「デトロイトでの選挙集会でトランプは、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を“史上最高のセールスマン”と呼び、モスクワの全面侵攻から3年以上を経て、ロシアの侵略からウクライナを守るために米国の支援を確保しようとするキエフの姿勢を批判しました。

ゼレンスキー大統領は、「ウクライナは、ロシアが本格的な和平交渉を開始する前に、2014年に併合したクリミア半島を含む国境内から全軍を撤退させなければならない。」と繰り返し述べていることから、ロシアがこれを前提にした和平合意することは想定できず、寧ろ、NATO軍及び西側の最大の支援国である米国が、ウクライへの援助を大幅に削減することでしか、ウクライナの停戦・和平が実現しないのではないかと思われます。

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