大手機関投資家から、元利払いの再開を求められているウクライナ政府

RTがWSJの記事を引用しながら、ウクライナ国債の元利返済の再開に関して報道していうので、これを中心に紹介したい。

ウクライナ政府が発行するユーロ・ボンド(ウクライナから見て、オフショア市場で発行された国債)の外国の債券保有者グループが、2022年にウクライナ政府とそのユーロ・ボンドの債務返済を猶予することで合意していたが、2025年にも元利返済を開始するよう要求していると報じられている。

(2022年8月のBloombergのニュースでは、「キエフの財務省が水曜日に発表したところによると、196億ドル相当のウクライナの外債の約75%を占める投資家は、クーポンと元本の支払いを2024年まで延期することに同意したという。」と報道されていた。)

このグループはロシアとの紛争の終結を期待し、キエフに2年間の債務返済猶予を与えていたが、戦闘の終結が見えないため、債務の一部を帳消しにする代わりにキエフが利払いを再開するという取引を成立させようとしている。

このグループはウクライナのユーロ債の約5分の1を保有しており、元利払いが再開すれば、ウクライナ政府は毎年5億ドルの利息を返済するためのコストがかかると述べている。

もしウクライナが本年8月までに債務返済の合意に至らなければ、デフォルトの可能性があり、信用格付けに傷がつき、今後の借り入れが難しくなるおそれがある。

また、一部の債券保有者は凍結したロシアの資産をウクライナの債務返済に充てることを示唆しており、米国ではその差し押さえを可能にする法案(ウクライナ人のための経済的繁栄と機会の再建法(Rebuilding Economic Prosperity and Opportunity (REPO) for Ukrainians Act.)が可決されたが、ヨーロッパには同様の法的メカニズムは存在しないという。

前述の債券保有グループにはインベスト・マネジャーのPimco及びBlackRockが含まれているとのこと。

また、この報道に先立ち、本年4月中旬には、Bloombergでウクライナ国債の債務再編についても言及した記事が出ており、「ウクライナの国債保有者グループは、再編の可能性を前にPJTパートナーズを財務アドバイザーに選んだという。

Amundi、BlackRock、Amia Capitalを含む大きなグループである債券保有者は、2022年にウクライナに付与された元利返済猶予の期限が9月に終了する予定であることから、債務再編の準備を始めている。」と報道している。

ロシアによる特別軍事作戦が3年目に入り、ウクライナ政府の政策立案者たちは国の財政を維持するのに苦労していることから、対外債務の再編も具体に議論されていくものと予想される。

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