Scott Ritter : American Killers.

このJudging FreedomのYouTube動画では、まずリッターがロシアとの「外交」について、現在のトランプ政権のやり方をかなり厳しく批判します。彼によれば、ロシア政府の一部は不動産業出身の交渉人(ウィトコフやクシュナー)を「米大統領の代理」として形式的には扱うものの、真剣な対話相手とは見ていない。ロシア側は、米国による「ハイブリッド戦争」と「メンタル・ウォー」――NGOやメディアなどを使ってロシア社会の自己信頼を長期的に破壊し、内部崩壊を狙う戦略――をよく理解しており、そうした構図の中で「取引(deal)」という発想そのものを疑っていると説明します。ロシアが求めているのは、曖昧な握手やビジネスライクな合意ではなく、詳細で法的拘束力を持つ条約であり、ABM条約やINF条約、イラン核合意(JCPOA)を反故にしてきたアメリカへの不信が根底にあると語ります。

続いてリッターは、ウクライナ戦争の行方とトランプ政権内の権力構図に話を移します。国務長官は戦争終結に前向きでなく、トランプは不動産仲間と義理の息子に依存しており、ロシアの歴史や文化への理解も乏しいと指摘されます。RubioがBessentやKelloggから「ロシア経済は崩壊寸前で、制裁強化と兵器供給で追い詰められる」と聞かされていたが、ラブロフとの電話で現実を突きつけられたこと、その内容をトランプが知らされ、Kellogg解任と対ロシア認識の転換につながった、というストーリーが語られます。リッターは、アメリカはすでに「ロシアの勝利」「ウクライナの無条件降伏」という最終結果を受け入れつつあり、欧州は2025年の米中間選挙まで時間稼ぎを図っているが、戦場の崩壊・エネルギーインフラの破綻・財政破綻が進んでおり、現実にはゼレンスキー政権の延命は不可能だと論じます。

さらにリッターは、NATOと欧州の安全保障、そして最新の米国家安全保障戦略(NSS)にも触れます。欧州首脳が「NATOが安全を保障するウクライナ選挙」などの案を出していることを「現実離れ」と切り捨て、勝者であるロシアが戦後ウクライナの政治構造を設計するのは、1940年代に米軍がドイツ占領に向けて軍政・ブラックリスト/ホワイトリストを準備していたのと同じ「戦争の現実」だと説明します。また、トランプ政権のNSSは欧州が「文明的消滅」の道を歩んでいるとまで書いており、Bessent財務長官が「ロシアがNATO加盟国を攻撃しても、米国は武器を売るかもしれないが一緒に戦争はしない」と発言したことを引きつつ、米国はNATOよりもロシアとの戦略的安定を重視し、西半球と太平洋に注力する方向へ完全に舵を切っている、と解釈します。

後半の焦点は、カリブ海での「難破船殺害事件」とSEAL Team 6の役割です。国際法上「shipwrecked(難破者)」は救助義務を伴う保護対象であるにもかかわらず、Bradley提督がその定義を事実上拒否し、10月2日に難破者の殺害命令を出したとされる証言内容が紹介されます。リッターは、麻薬取引は死刑刑罰ではなく、非武装の難破者を殺害することは明白な法律違反であり、SNSなどで「これが自分の投票した政策だ」と喜ぶ層に対して、「投票結果は法の支配を上書きしない」と強く批判します。軍内部では、違法命令の可能性に対する懸念から司法審査を求める声が強まり、南方軍司令官の辞任も「違法命令への抵抗」の一部ではないかと分析します。

リッターはまた、なぜSEAL Team 6と統合特殊作戦部隊(JAC)が本来沿岸警備隊が担当すべき任務に投入されているのか、その背景を詳細に語ります。彼によれば、SEAL Team 6にはBlack Squadronという諜報部門があり、ベネズエラ国内でターゲットとなる船舶に関する高機密な情報(映像・音声・サンプル・バイオメトリクスなど)を収集しているため、その存在と情報源を秘匿する目的で、特殊部隊がドローン運用とキルチェーンの中枢を担わされているといいます。その一方で、国防長官Hegsethは「最大致死性」「殺すために来た」という路線を繰り返し演説で強調し、最新のNSS文書には麻薬取引自体を「致死的結果を伴う行為」に格上げし軍に殺害権限を与えるような記述があると紹介し、これを「大統領署名入りの違法命令」だと厳しく断じます。

そこからリッターはSEAL Team 6そのものの歴史とカルチャーを、非常に辛辣なトーンで批判します。Bradleyは1999年にSEAL入りし、Blue Squadronの一員として2001年のアフガニスタン作戦に参加しており、Roberts Ridgeやその後の結婚式襲撃事件など、複数の戦争犯罪に関与した部隊の一員だったと主張されます。リッターは部隊ごとの「海賊」「クルセイダー」「赤い男たち」などの象徴と残虐な“シグネチャー”を挙げ、「Code Over Country(国より仲間のコードを優先)」という価値観が組織全体を支配し、戦争犯罪の隠蔽と互いの庇護が常態化している、と描写します。その上で、たとえ個々のSEALが直接の犯罪行為を行っていなくても、仲間の犯罪を知りながら沈黙するなら「善人ではない」と断じ、SEALコミュニティ全体を道義的に非難します。

最後に、責任追及と法的枠組みについて議論が行われます。Judgeは「大統領からヘリのミサイル発射ボタンを押した兵士に至るまで、誰が戦争犯罪に当たるのか」と問い、リッターはキルチェーンの各段階で「違法命令を認識し得たか」が鍵だと説明します。パイロットはターゲットの正体を知らない可能性がある一方で、情報部・指揮部・法務官は船の状態や難破者である事実を知り得たはずであり、誰かが明確に反対し文書化すべきだったと主張します。そして、1996年制定のWar Crimes Actでは、ジュネーブ条約上保護される者の違法な殺害は「重大な違反」に該当し、有罪になれば終身刑か死刑が義務的刑罰になると指摘し、Bradleyの逮捕・訴追、国防長官の更迭、議会による本格的な調査なしには、この違法行為が常態化すると警告します。Judgeとリッターは最後に、自分たちが批判されていることを認めつつも、「憲法と法の支配の側に立つ」という立場を貫く決意を確認して番組を締めくくります。

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