J.P. Morgan eyeing both defense startups and legacy firms for $10B investment push: Execs

Breaking Defense Oneに”J.P. Morgan eyeing both defense startups and legacy firms for $10B investment push: Execs”と言う興味深い記事が出ています。これまで、軍事産業への投融資については、ESGの観点から消極的であったものが、大きく転換。

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J.P.モルガン・チェースは、新たな「Security and Resilience Initiative(SRI:安全保障・レジリエンス・イニシアチブ)」の一環として、今後10年間で自社資金100億ドルを防衛や先端製造などの分野に投資し、その中でも原子力潜水艦サプライチェーンへの資金供給を重点分野の一つに位置づけています。

## イニシアチブの概要

– SRIは、米国の経済・安全保障上重要な産業に対し、10年間で総額1.5兆ドル規模の融資・引受・投資を行う包括的プログラムで、そのうち最大100億ドルをJ.P.モルガン自身のエクイティ投資・VC投資として拠出する枠組みです。

– 対象は「サプライチェーンと先進製造」「防衛・宇宙」「エネルギー自立・レジリエンス」「フロンティア/戦略技術(AI・量子など)」の4大分野で、国防関連はその中核的な柱とされています。

## 防衛・原潜関連投資の方向性

– 防衛分野では、特に中国抑止の中核と位置づけられる原子力潜水艦の建造能力強化が最優先テーマの一つとされており、米国防総省が年間建造隻数を2隻から3隻へ引き上げる目標を支えるため、造船所設備・プロセス高度化・熟練工確保などへの投資ニーズを重視しています。

– 潜水艦やミサイル・弾薬の生産能力について、現在の産業基盤とサプライチェーンでは大規模紛争時に短期間で在庫が枯渇しうるとの危機感があり、J.P.モルガンは中小の部材・素材サプライヤーに対するエクイティ投資や資本提供を通じて、能力増強とレジリエンス向上を狙っています。

## スタートアップとレガシー企業の両にらみ

– 防衛テック系のVCバック・スタートアップが過去30年で最多水準にある一方で、原子力潜水艦などでは認証済みの老舗サプライヤーが不可欠であるため、SRIは「スタートアップから老舗まで」幅広く投資可能とされ、既存の大手防衛メーカー向けサプライチェーン企業も重要な投資候補と位置づけられています。

– J.P.モルガンはイノベーション経済チームを通じてスタートアップに融資も行っており、その取引関係や情報を活用して有望な投資先を選別し、今後SRI枠から初期段階企業への出資案件が増えると見込んでいます。

## 初案件:重要鉱物アンチモン投資

– SRIの最初の投資案件として、J.P.モルガンは米パーペチュア・リソーシズに対し約7,500万ドルのエクイティ投資を実行しており、同社は米国内で初のアンチモン生産を目指す鉱山開発企業です。

– アンチモンは弾薬やバッテリーなど防衛用途に加え、太陽光パネルや難燃剤にも使われるクリティカルミネラルであり、中国の輸出規制を受けて西側で供給確保が急務となっている中、J.P.モルガンはこの投資を通じて米国の重要鉱物サプライチェーン強化を図る狙いです。

## 政府との連携と今後の見通し

– SRIは防衛だけでなく、ヘルスケアや天然資源、フロンティア技術など幅広い分野を対象としており、J.P.モルガン側は国防総省(記事では「Department of War」と表記)、商務省などと協議しながら、公的資本との協調投資や、デット・エクイティ双方のファイナンス手段を組み合わせた「官民連携」型のスキーム拡大を模索しています。

– 経営陣は、SRIの投資判断はトランプ政権との政治的合意ではなく、あくまで商業的リターンを前提にしたものであると強調しており、地政学リスクの高まりとサプライチェーン分断を背景に、米国内の防衛・エネルギー・製造業への長期的な資本供給インフラとして位置づけられています。

breakingdefense.com

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