The Epoch TimesのAmerican Thought Leadersの”How This Tech Can Break China’s Rare Earth Monopoly | Dr. James Tour”から。
❶ 中国の“重要鉱物支配”という地政学的脅威と、米国の産業的弱点
動画冒頭では、現代の戦争や国際紛争の多くが「資源争奪」であることが強調され、中国が世界のレアアースおよび“重要金属”の加工でほぼ独占状態にある現実が提示される。米国は過去30年間にわたり、鉱物の精製・加工能力を中国に依存してきた結果、EV、半導体、軍需産業などの核心的製造が中国の輸出管理一つで止まってしまうという構造的脆弱性を抱えている。たとえ米国内で資源を採掘しても、多くは加工のために結局中国へ送られ、付加価値工程が完全に国外化されている。こうした状況下で中国がレアアースやガリウム・ゲルマニウム等の輸出管理を強化したことは、米国にとって経済安全保障上の重大警告となった。
—
❷ ドクター・ジェームズ・トゥアの発明:廃電子機器から重要金属を“瞬間回収”する革新的技術
ライス大学の化学者・ナノ技術研究者ジェームズ・トゥア博士が開発したのは「フラッシュ・ジュール加熱(Flash Joule Heating)」という方式で、抵抗を持つ物質に瞬間的に高電圧・大電流を流し、一気に高温化させる技術である。これに塩素ガスを組み合わせることで、金属や金属酸化物を“沸点の低い金属塩化物”に変換し、蒸発温度の違いにより、複数の金属を段階的に分離・回収することが可能となる。
従来のレアアース精製は巨大で長大な設備(500m級の工程)と大量の酸・水を必要とし、環境負荷も高かった。一方、トゥア博士のプロセスは設備規模が小さく、酸も水もほぼ不要で、極めて清潔かつ高速で、廃電子基板(プリント基板)や石炭燃焼残渣(フライアッシュ)、古い鉱山の尾鉱(tailings)などを数秒で高純度金属に変えることができる。これにより、従来は“毒性廃棄物”として処理費用がかさむ電子産業のゴミが、逆に高価値資源へと変わる。
—
❸ 廃棄物が“宝の山”に変わる:電子廃棄物、尾鉱、レッドマッド、フライアッシュ
米国には、膨大な量の電子廃棄物(特にデータセンターが1〜3年で更新する基板類)が蓄積しており、通常の鉱石に比べて金属濃度が100〜1000倍高い。さらに過去の鉱山が残した尾鉱、アルミ製造の副産物「レッドマッド」、石炭火力の灰「フライアッシュ」など、環境問題化していた大量の廃棄物も同技術で即座に浄化・資源化できる。これら廃棄物の多くは企業にとって維持コストが高く、“持っていて損をする資産”であるため、処理を依頼される側が逆に利益を得られる構造が成立する。
特にプリント基板は金属含有率が25%級で、通常の鉱石(1%未満)より遥かに効率的である。加えて、金やパラジウムなどの貴金属、触媒コンバーターに含まれるロジウムやプラチナなど、極めて高い価値を持つ金属も安価に抽出できるため、経済性の面でも非常に魅力的である。
—
❹ 経済性:CO₂排出は最大90%減、コストも50〜80%削減、CAPEXも大幅低減
トゥア博士のチームは、すべての論文にライフサイクルアセスメント(LCA)とテクノエコノミック分析を付けており、その結果、以下の大幅な優位性が確認されている:
* **CO₂排出:従来比50%以下、場合によっては10%以下**
* **コスト:50〜80%削減**
* **水・酸の使用量:ほぼゼロ**
* **資本費:鉱山の新規建設200Mドルに対し、工場建設40Mドル(5分の1)**
さらに、従来プロセスで必要だった長距離輸送(豪州→中国→米国)の削減は、経済性を劇的に改善する。これにより、米国内での収益性が初めて成立し、輸入依存構造からの脱却が可能になる。
—
❺ スケールアップの課題と進捗:2026年に1日1トン処理から開始し、年内に20トンへ
最も大きな“技術的ハードル”はスケールアップであり、研究室レベル(数mg〜数g)から、産業レベル(数十トン/日)への拡大には数年の工学的研究が必要だった。トゥア博士のチームは2019年〜2025年にグラフェン大量生産技術を実証した経験を活かし、金属回収技術でも2年かけて工場設計を確立。
2026年1月に1日1トンのプリント基板処理ラインが稼働し、同年秋には20トン/日に拡大予定。これは年間数千トン級の金属抽出を意味し、複数工場の並列展開で米国の重要金属供給を大幅に内製化できる。
—
❻ 国家安全保障と政策支援:レアアース戦争を回避する“技術的シールド”
NATO将軍はこの技術を聞いて「これは戦争を防ぐ」と述べたという。理由は明確で、レアアースや重要金属の供給で敵対国に依存しなければ、資源争奪のための軍事行動が不要になるためである。
米国政府(トランプ政権)はさらに以下の政策で支援:
* **国内生産に対し最低価格(フロアプライス)を保証**
→中国がダンピングして米国の新興企業を潰すのを防ぐ措置。
* **工場建設用地の確保支援および全国展開の促進**
* **軍需廃棄物(退役航空機・潜水艦・軍用バッテリーなど)を安定供給源として提供**
これにより、米国は「中国の気まぐれな輸出管理」に左右されない長期的な資源供給体制を築けるとされる。
—
❼ 5年で“完全自立可能”――中国依存を終わらせる決定的技術
トゥア博士は、米国がこの技術を全国的に導入すれば**「5年で重要金属の自給体制を構築できる」**と断言する。
* 廃電子機器は無尽蔵で更新サイクルが短い
* 鉱山尾鉱・レッドマッド・フライアッシュは全国に山積み
* 回収した金属は純度が高く、軍需・半導体・EV・風力タービンなどにすぐ利用可能
* 金・ロジウム・プラチナなど高付加価値の副産物でビジネスを安定化できる
* ほぼ“廃棄物ゼロ”で環境にも貢献
この技術は、資源生産・環境保護・経済・安全保障が同時に成立する極めて稀なケースであり、科学者としてこれほど国に貢献できる仕事は「夢のようだ」と博士は語る。
