Meta Platforms社の変革は本物だろうか?_したたかな経営者のマーク・ザッカーバーグ

いよいよトランプ第二期政権がスタートするが、これまで民主党支持が鮮明であった米国のIT業界にも大きな変化が見られるようになって来ている。

その代表例は、イーロン・マスク氏であろう。

彼は、2024年の大統領選挙の真っ只中に、トランプ前大統領への支持を明確に打ち出し、選挙キャンペーン資金に多額の寄付をするだけでなく、選挙戦を共に戦い、トランプ前大統領の勝利にも大きく貢献したと言える。

 
 
 

これに対して、Meta Platforms社のCEOである、マーク・ザッカーバーグ氏は選挙キャンペーン中には、トランプへ前大統領の支持を明確にすることはなく、実際、ザッカーバーグ氏は2024年の大統領選挙でどの候補者も支持しないことを明確に述べている。

また、前回の選挙の時と異なり、2024年の選挙で大きな役割を果たす予定はなく、どちらの候補者も支持しないと述べていた。

しかしながら、ザッカーバーグ氏はトランプ前大統領を支持しなかったが、彼のいくつかの行動は元大統領に好意的であると解釈されることはあった。

  • 2024年7月の暗殺未遂に対するトランプ前大統領の対応を称賛し、「私が今まで見た中で最もかっこいいことの一つだ」と呼んだ。

  • 2024年11月、ザッカーバーグはマー・ア・ラーゴでトランプ次期大統領と夕食を共にした。

  • 選挙後の2024年12月、Meta Platformsはトランプ次期大統領の就任式基金に100万ドルを寄付した。

興味深いのは、IT企業の中でも比較的早い時期に、トランプ次期大統領の就任式基金に大口の寄付を表明したことだ。

と言うのも、Facebookは民主党政権の強い意向を受けて、トランプ次期大統領のアカウントも凍結したり、自主的な検閲を通じて、民主党政権に都合の良くないコンテンツを広く拡散することを制限していたのは紛れもない事実だったからだ。

そのようなMeta Platformsが、2025年に入って、トランプ次期政権の誕生が目前に迫る中で、業務運営上の重要な変更を3つ発表している。

  • その1つは、Meta Platformsの長年の政策責任者で、英国の元副首相でもあったニック・クレッグ氏が退任し、後任は共和党に強い関係がある、ジョエル・カプラン氏をグローバル担当最高責任者として迎えたことだ。

    クレッグ氏はカプラン氏の起用について、「ジョエルは、テクノロジーをめぐる社会的、政治的期待が進化し続ける中で、会社の戦略を形作るのに理想的な人物である。」と述べている。
  • 2つ目は、米国を皮切りにファクトチェック・プログラムを廃止すると発表したことだ。

    このプログラムは、フェイスブック、インスタグラム、スレッドを含むMeta Platforms社のソーシャルメディア・プラットフォームを利用する30億人以上の人々の間で、ネット上での嘘の拡散を防ぐことを目的としていたが、一方で「あまりにも多くの検閲」につながってきたとザッカーバーグ氏は述べた。

    彼は、特に最近の米国大統領選挙を受けて、Meta Platforms社にとって「表現の自由をめぐる原点に立ち返る」時が来たと付け加えた。同氏は、これを「文化的転換点であり、再び言論を優先させること」だとし、プロのファクトチェッカーに頼るのではなく、Xが採用しているような「コミュニティ・ノート」モデルを採用するとも述べた。

  • 3番目は、Meta Platforms社はダナ・ホワイト氏、ジョン・エルカン氏、チャーリー・ソンガースト氏が同社の取締役に選出されたことを発表したことだ。

    とりわけ目立つのが、総合格闘技団体の最大手のUFCの社長兼CEOのダナ・ホワイト氏の任命で、彼も熱心なトランプ次期大統領の支援者であり、2024年の大統領選挙に於けるトランプ次期大統領の勝利に大きく貢献したことでも有名だ。

こうした一連のアクションを見ると、Meta Platforms社がトランプ政権の誕生が目前に迫る中、同社の事業環境が大きく変化することを想定し、トランプ次期大統領との関係修復し、事業戦略を大胆に調整して来たと言えるのではないかと思う。

この辺が、Alphabet社のCEOのサンダー・ピチャイ氏やApple社のCEOのティム・クック氏と違うところで、ザッカーバーグ氏はMeta Platforms社の創設者でオーナー経営者であるだけに、大胆に方向転換出来るのかなと考える所以である。

細かいところではあるが、Facebookで従前は、ロシア国営放送のRT社やSputnik社のニュース記事のURLを貼って投稿するだけで、明確な警告メッセージが出たり、管理者の承認を得ないと、グループ内での投稿も自由に出来ない設定になっていたが、現在は、これも無くなっていることを付け加えておきたい。

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