ゼレンスキー大統領のウクライナ戦争の「勝利プラン」はどのように評価されたのか?

9月22日から始まった、ウクライナのゼレンスキー大統領の米国訪問には、以下のような重要な目的があったとされる:

 
 
 
 
 
  • バイデン大統領、連邦議会、その他のアメリカ政府高官に「勝利プラン」(“Victory Plan”)を提示する。

  • 国会で、グローバル・サウス、G7諸国、ヨーロッパの指導者と対話する。

  • 国連総会で演説する

  • ウクライナの長期的な安全保障と地政学的スタンスについて、米国政府高官と話し合う。

  • アメリカの防衛・エネルギー企業の代表と会談する。

今回の訪問は、ゼレンスキーにとって、ロシアとの対立にあるウクライナへの継続的な支援を確保し、勝利達成のための戦略を提示する重要な機会と見られていたが、バイデン政権や西側諸国には、この「勝利プラン」はどのように評価されたのであろうか。

9月28日のBBCの

“Zelensky gives his ‘victory plan’ a hard sell in the US – did the pitch fall flat?”

では、

「ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が訪米中、大胆なネーミングの「勝利プラン」をアメリカの有力政治家たちに提示するチャンスだった。しかし、キエフがその希望リストにある重要な要求のいずれかに近づいているかどうかは不明だ。」

と報じている。

更に、

「ホワイトハウスでのバイデンとの会談に先立ち、さらなる資金援助のニュースもあった。」

と述べたものの、

「ゼレンスキーが退任する大統領に戦争を終わらせるための“勝利プラン”を手渡したため、会談は友好的だったが、その結果については曖昧だった。」

と報じ、ロシア奥地の軍事目標を攻撃するために西側製の長距離ミサイルを使用できるように、しばらくの間、西側諸国に許可を求めていたが、今のところ許可は下りていない。

 

9月25日のWSJの

“‘Unimpressed’ With Ukraine’s Victory Plan Ahead of Biden-Zelensky Meeting”

と言う記事の中では、

「バイデン政権は、ゼレンスキーの“勝利プラン”が包括的な戦略を欠き、武器増備の要求に主眼を置いていることを懸念している」

と報じ、

「米政府高官の中には懐疑的な見方を示す者もおり、ある高官は“あまり目新しいものはなく、感心しない」

と述べたとしている。また、同記事の中では、

「勝利への明確な道筋の欠如:計画の主要な側面をよく知る米欧の高官たちは、特にロシア軍が戦場でゆっくりと、しかし着実に前進していることを考えると、ウクライナの勝利への明確な道筋が示されていないと指摘する」

と述べている。

前述のBBCの報道では、ゼレンスキー大統領が『ニューヨーカー』誌に、トランプは

「戦争を止める方法を本当に知らない」

と信じていると語り、副大統領候補のJD・バンスについては

「急進的すぎる」

と評したことを伝えているが、ウクライナの政治アナリストでロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の研究員であるマリヤ・ゾルキナは、トランプとバンスに関する彼の発言は「大きな間違い」だったと言うコメントも紹介している。

ゼレンスキー大統領は、今回の米国訪問中に、トランプ前大統領とも会談した。

前述のBBCの記事では、

「ゼレンスキー大統領は会談を“非常に生産的”だったと評価したが、トランプ前大統領の根本的なアプローチを調整できた兆候はまだほとんどない。」

と報じている。

会談後、両氏は記者団の前に並んで立ったが、

「トランプ前大統領が、ゼレンスキーともロシアのプーチン大統領とも“非常に良い関係”だと宣言した。」

する一方で、

「ゼレンスキー大統領が、“プーチンとの関係よりも彼との関係が良好であることを望む”とそっと口を挟んだが、トランプはこの発言を一笑に付した。」

と二人の気まずい出会い状況を紹介している。

全体として、ゼレンスキー大統領は自身の「勝利プラン」を強力にアピールしたが、ワシントンをはじめとする西側同盟国は、この提案のすべての側面に対して、まだ実質的な熱意を示しているわけではないと言えるのではないだろうか。

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