サウジアラビアがG7にロシア資産の差押えについて警告

先のG7の首脳会議で、凍結されたロシアの資産約3000億ドルから発生するインカム収入を活用し、ウクライナに500億ドルの融資を行うことで合意に達したことは、まだ、記憶に新しいところです。

Perplexityを使って、融資実行に係るニュースなども調べてみましたが、重要な続報はありませんでした。

 
 
 

さて、7月10日のBloombergの“Saudis Warned G-7 Over Russia Seizures With Debt Sale Threat”の記事に中で、サウジアラビアがG7にロシア資産の差押えについて警告していたことが報道されています。

要旨は以下の通りです。

  • 今年初めに、サウジアラビアは、G7がロシアの凍結資産約3,000億ドルを差し押さえる場合、保有する欧州債の一部を売却する可能性を内々に示唆しました。サウジアラビアの財務省は、この案に反対する姿勢をG7関係者に伝え、特にフランスの国債について言及しました。

  • G7は最終的に、資産そのものを差し押さえずに生み出される利益を利用することで合意しました。サウジアラビアのこの姿勢は、ユーロ加盟国の慎重な態度に影響を与えた可能性があります。

  • サウジアラビア政府は、G7との関係は相互尊重に基づくものであり、脅しは行っていないと声明を出しましたが、欧州政府関係者は他国がサウジアラビアに追随する可能性を懸念しています。

本年の5月と6月、G7はロシアの中央銀行資金に関するさまざまな選択肢を模索していましたが、米国と英国が直接的な差し押さえを含むより大胆な選択肢を推し進めたのに対し、G7は最終的に、資産そのものには手をつけず、資産から生み出されるインカム収入のみを利用することで合意しました。

この意思決定の背景には、ユーロ圏の一部の国々は、ロシアの凍結資産の直接差し押さえに反対していたからです。サウジアラビアの姿勢は、この慎重なアプローチに影響を与えた可能性があります。

前述の記事の中では、サウジアラビアの外交的な地位についても、

「サウジアラビアの事実上の支配者であるムハンマド皇太子の下、リヤドはますます外交大国としての立場を強めており、キエフとモスクワの仲介を望んでいると述べている。」

と書いており、この動きは、サウジアラビアが世界の舞台で外交的影響力を強め、主要な政策決定に影響を及ぼす能力を持つことを浮き彫りにしています。

更に、同記事の中では、

「サウジアラビアの動きは、世界舞台での影響力の増大と、G7がロシアの侵略に直面するウクライナに対していわゆる“グローバル・サウス”諸国からの支持を集めることの難しさを強調している。」

とも述べています。

同記事を読んでみて、改めて、こうした状況はウクライナ紛争を取り巻く複雑な地政学的考察を浮き彫りにして、G7以外の国々がいかに主要な国際的な意思決定に影響力を行使しうるかを示していると感じた次第です。

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