ウクライナ復興の為のロシア凍結資産の活用について

イタリア北部の都市ストレーザで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議では、ロシアがハリコフ地方に侵攻して3年目を迎え、新たな攻勢を強めているウクライナのために、どのように資金を調達するかという問題に主に焦点が当てられた。5月26日のDWは以下のような要旨で報道している。

G7財務相・中央銀行総裁会議では、ウクライナ支援のために凍結されたロシアの資産の利用について議論が行われたが、具体的な合意には至らなかった。

EUは凍結資産の利子をウクライナに提供する計画を承認したが、G7では、ロシアによるウクライナへの侵攻に対して資金調達策が焦点となり、凍結されたロシアの資産に由来する特別な利益を活用する方法について話し合われた。

ただし、具体的な提案はまだなく、技術的・法的な問題があると言われている。

詳細な合意には、来月イタリアのプーリアで開催されるG7首脳会議の承認が必要となる。

米国はG7パートナーに対し、凍結されたロシアの資産から生み出される利子をウクライナ向けの融資に充てる制度を創設するよう呼びかけているが、キエフのために短期的に500億ドルを調達できる可能性はあるものの、誰が債務を発行するのか、G7パートナー間のリスク配分など、いくつかの問題を提起している。

ウクライナ復興の為のロシア凍結資産の活用については、5月25日にRTも詳細に報道しており、『金曜日に記者会見したジョルジェッティ氏は、「法的な観点から議論の余地のない」「政治的に望ましい解決策」を模索しているが、それには時間がかかると付け加えた。

ジョルジェッティ氏は、6月にプーリアで開催されるG7首脳会議で最終的な決定が下される可能性が高いと指摘した。』と述べている。

また、「ワシントンは資産を全面的に差し押さえようと躍起になっているが、G7は、金融面での信頼性を損ない、他国がEU圏内に資産を留保する意欲をなくすという欧州加盟国の懸念から、この選択肢を検討していないと報じられている。

その代わりに、G7は資産から生み出される利益をどのように活用するかに焦点を当てている。」とも書かれている。

更に驚くことには、今回のロシア凍結資産の活用目的は、ウクライナの復興と言うことにはなっているものの、「ウクライナの指導者であるウラジーミル・ゼレンスキーに凍結資産から得た資金を直接配分し、その90%を武器購入に充て、残りの10%をウクライナの復興に充てるという選択肢も検討されているという。」としている。

このようなG7の動きに対して、ロシアのプーチン大統領も対抗策を準備しているようだ。

5月23日のRTの記事では、正にこれが取り上げられており、プーチン大統領が木曜日に署名した政令によると、「ワシントンが海外に保有するロシアの資産を没収しようとした場合、モスクワは米国に関連する団体や市民がロシア国内に所有する財産の差し押さえに動く可能性がある。」と述べており、「アメリカとその同盟国は現在、欧米で凍結されているロシアの公的資産約3,000億ドルから生み出される資金を、ウクライナの対モスクワ戦に役立てる方法を考案しているが、クレムリンが発表した文書には、アメリカによる損害賠償を、アメリカ自身や関連団体が所有する財産で相殺できるようにする将来の仕組みの概要が記されている。

ロシア政府と中央銀行には、ロシアの裁判所を通じてそのような損害の救済を求める権限が与えられる。」と概略を紹介している。

また、「プーチン大統領の勅令により、政府はこのメカニズムの法的枠組みを準備し、関連する提案を議会に提出し、審議されるまでに4カ月を要することになった。」とも述べており、ロシアも海外で凍結されたロシア中銀を中心としたG7の活用に対しては、準備を進めている様子が分かる。

しかし、ロシアに資産を有する米国やG7の企業や個人は、G7のウクライナ支援のとばっちりを受ける恐れがあり、大迷惑な話だ。

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