安倍元首相のトランプ大統領へのアプローチがお手本に

2024年11月の米国大統領選でトランプ前大統領が勝利した場合を想定して、各国がトランプ陣営と事前のアプローチをしている。

英国のThe Sunday TimesのTim Shipman、Chief Political Commentatorが5月12日に非常に興味深い記事を投稿しているので、これを紹介したい。

記事のタイトルは、“David Lammy and Boris Johnson vie to be the Trump whisperer”(9とボリス・ジョンソン、トランプの囁き役を争う)となっており、両氏のアプローチが対象的であることを「影の外務大臣がソフトにソフトにアプローチする一方で、前首相とデービッド・キャメロンは前米大統領と緊密に連絡を取り合っている。」と表現している。

デイヴィッド・ラミーは、労働党の影の外務大臣であるが、

「先週、影の外務大臣であるデイヴィッド・ラミーがワシントンDCに赴いたとき、彼は思いもよらないロールモデルを得た: 日本の控えめな元首相、安倍晋三である。」

と記事の中で述べ、安倍元首相がトランプ前大統領と良好な関係を築き、トランプ前大統領の良き友人であった点を「2016年にドナルド・トランプが大統領に選出された後、安倍首相の控えめなアプローチは、メガホン外交を行うのではなく、舞台裏で大げさな指導者と建設的に関わり、ホワイトハウスで最も影響力のある外国人指導者になったと評価された。」と書いている。

同記事の中で「トランプ前大統領が11月の選挙で政権に返り咲き、労働党が総選挙で勝利する公算が高い中、次期外務大臣を目指す彼は、ホワイトハウスとトランプワールドの両方で、多くのドアが開かれていることに気づいた。

バイデン大統領の国家安全保障アドバイザーを務めるジェイク・サリバン、トランプ前大統領が勝利すればそのポストに就くと言われているエルブリッジ・コルビー、そしてトランプの選挙運動マネージャーであるクリス・ラシビタなどだ。」とラミーが対米関係のリレーションシップ作りに色々なチャンスを見出している様子を紹介している。

また、同記事の中では、安倍首相のトランプ戦略は、当時中道右派の外交政策シンクタンク、ハドソン研究所を運営していたケン・ワインスタインの助けを借りて考案されたことを紹介して、ワインスタインの「トランプ前大統領は、安倍首相の自由で開かれたインド太平洋構想をアメリカの大戦略としてすぐに採用した。彼らは一緒にゴルフをし、妻たちは信じられないほど親しくなった。

ラミーとスターマーは、これはもうジェレミー・コービンの労働党ではないというシグナルを送ろうとしている。」と言うコメントを紹介している。

更に、ラミーのアプローチについて、元トランプ大統領の側近であり、元国防高官でシンクタンク「マラソン・イニシアチブ」の代表を務める 「ブリッジ 」コルビーも高く評価していると記事の中では書いており、外務大臣候補に会ったコルビーは、トランプ大統領の代弁者ではないことを強調しながら、「ラミーは、孤立主義ではなく、より選択的かつ現実的で、同盟国がより大きな役割を果たすことを求めるアメリカ第一主義の外交政策と、多くの中道左派の外交政策との間に、潜在的な利害の一致があることを見抜いている。」と言う彼のコメントを紹介している。

The Sunday TimesのTim Shipmanの投稿を見て、安倍元首相のアプローチがトランプ前大統領と対峙していく上でいかに有効であったのかと言うことに改めて認識した上で、労働党の影の外務大臣のデイヴィッド・ラミーは、ロバート・オブライエン(トランプの元国家安全保障顧問)、J.D.バンス(オハイオ州上院議員で副大統領候補)、リンゼイ・グラハム(トランプチームと英国の政治家の間の使者として活動)とも会談しており、来るべきトランプ政権と協調して外交を進めていく準備をしている様子が伝わって来た。

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