Judging Freedomのマクレガー大佐が登場。
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本インタビューにおいて、退役米陸軍大佐である Douglas Macgregor は、現在議論されている対イラン軍事行動、特に「地上部隊投入」の可能性について、極めて否定的かつ警戒的な評価を提示している。議論の出発点として、彼は近年の米国において宣戦布告なき戦争や先制攻撃が常態化しており、国民もそれを問題視しなくなっているという構造的問題を指摘する。そして、こうした武力行使の正当性を問う姿勢が失われていること自体が、自由社会にとっての危機であるとの認識を示している。
現状認識としてまず強調されるのは、米軍の実際の被害状況に関する情報の不透明性である。彼は、湾岸地域の米軍基地が攻撃を受けており、死傷者数は公表されているよりも多い可能性が高いと述べる。こうした情報統制は歴史的にも繰り返されてきたものであり、第一次世界大戦や第二次世界大戦でも同様に、被害は遅れて公表されたと指摘する。したがって、現在の状況も例外ではなく、実態はより深刻である可能性があるというのが彼の見立てである。
また、湾岸地域における米軍基地の存在そのものについても歴史的背景が説明される。米国は英国撤退後に同地域へ進出し、ソ連の南下を警戒するという文脈で軍事拠点を構築したが、この脅威認識自体が誤っていた可能性があるとされる。それにもかかわらず基地は維持され、湾岸諸国は米国による防衛を前提とする体制を築いてきた。しかし現在、イランの攻撃能力を前にして、米国がこれらの同盟国を十分に防衛できない現実が露呈しつつあると指摘される。
軍事的観点からの核心は、イランの能力に対する「過小評価」である。Macgregorは、イランが高度な監視能力(ISR)を有しており、自国および周辺広域を常時監視できる体制を整えていると説明する。さらに、ロシアや中国の衛星情報を活用し、通信傍受能力も備えている可能性があるため、米軍による奇襲や秘匿的な作戦は極めて困難であるとされる。この環境下では、部隊の展開、補給、作戦遂行のいずれもが重大なリスクに晒されることになる。
Donald Trump の演説に対しては、極めて批判的な評価が示される。Macgregorは、その内容がイスラエル政府、特に Benjamin Netanyahu の主張をそのまま反映したものであり、イランを「最大のテロ国家」とする認識は事実に基づかないと主張する。また、イランの将軍ソレイマニについても、イラク安定化やISIS掃討に一定の役割を果たしたと評価し、単純な敵対的存在として描くことへの疑問を呈する。さらに、「イランを石器時代に戻す」といった発言は、国際法上の重大な問題を孕む可能性があると指摘される。
戦略面では、空爆中心の戦争観に対する批判が強調される。歴史的に見て、空爆のみで敵を屈服させることは成功しておらず、今回も同様に失敗しているとする。実際、数週間にわたる集中的な爆撃と膨大な精密兵器の投入にもかかわらず、イランは依然としてミサイル攻撃能力を維持しており、米国側の戦果主張には整合性がないとされる。このため、空爆の限界が露呈し、地上部隊投入というより危険な選択肢が浮上しているが、それは論理的に矛盾していると批判する。
さらに重要な論点として、今回の軍事行動が核拡散を促進する可能性が指摘される。もともとイランは核兵器を保有していなかったが、今回の攻撃により、安全保障上の観点から核開発の必要性が強く認識されるようになったとされる。これはイランに限らず、他の中規模国家に対しても同様のインセンティブを与えるため、結果として国際的な核拡散を加速させるリスクがあるという分析である。
また、戦争の影響は軍事領域にとどまらず、世界経済にも深刻な影響を与えているとされる。特にエネルギー供給の混乱は、日本や韓国を含む工業国の生産活動に影響を及ぼし、石油依存産業の停滞を招いている。さらに、肥料や食料供給にも波及し、将来的には飢餓のリスクが高まる可能性があると警告される。しかし、こうしたグローバルな影響については政策決定の中で十分に考慮されていないと批判される。
地上作戦に関する評価は一貫して否定的である。特殊部隊によるウラン確保作戦については、広大な国土と分散配置、そして高い監視能力を持つイランに対しては「干し草の中の針を探す」ようなものであり、成功の可能性は極めて低いとされる。また、島嶼占領や上陸作戦についても、ミサイルやドローンによる攻撃に対して防御が困難であり、持続的な作戦維持は現実的ではないと指摘する。現代戦においては、監視・打撃システムが統合された環境では大規模な上陸作戦は成立しないという認識が示されている。
総じて本インタビューは、対イラン戦争における米国の戦略が、軍事的・政治的・経済的いずれの観点からも非合理であり、特に地上部隊投入は重大な失敗につながる可能性が高いという警告で貫かれている。