The Duran本の本動画では、イラン戦争が開戦から約18日を経過し、当初想定された短期決戦ではなく長期消耗戦へと移行しつつあるとの認識が共有される。特に重要なのは、この戦争が単なる米・イスラエル対イランの軍事衝突にとどまらず、中東全域および世界経済を巻き込む構造的危機へと拡大している点である。現時点では、トランプ政権には依然として戦略的な「出口」が残されている可能性はあるが、もし地上軍の本格投入(数千規模から最終的には10万人規模)が行われれば、それは政治的にも軍事的にも「不可逆的なエスカレーション(point of no return)」となると分析されている。
戦略面では、イスラエルとイランのアプローチの違いが極めて明確に対比されている。イスラエルは引き続き「斬首戦略(decapitation strategy)」、すなわちイランの政治・軍事指導層を個別に排除することで国家機能の崩壊を狙っている。実際に、アリ・ラリジャニを含む高官の殺害が報じられており、この戦略は現在も継続中である。しかし分析者は、この手法はヒズボラなど過去の事例でも見られた通り、組織の再生能力を過小評価しており、決定的な成果を上げていないと指摘する。指導者が排除されても新たな人物がすぐに補充されるため、国家や組織全体の意思決定能力は維持されている。
これに対し、イランは全く異なる戦略を採用している。それは直接的な対米・対イスラエル軍事勝利ではなく、エネルギー供給を武器にした経済戦争である。具体的には、湾岸産油国への圧力と、ホルムズ海峡の事実上の封鎖または選別的通航(友好国のみ通過を許可)によって、世界の石油供給を制御し、米国およびその同盟圏に対して甚大な経済的打撃を与えることを狙っている。この戦略は、米国だけでなく欧州やインドなど広範な経済圏に影響を及ぼしており、すでにエネルギー不足や価格上昇、さらには配給制の議論まで現実化しているとされる。
この構図の中で、トランプ政権の最大の課題はホルムズ海峡の再開通である。しかし、現実には米海軍はイランの対艦能力(ミサイル、ドローン、機雷など)を前にして極めて慎重であり、積極的な突入を避けていると報じられる。仮に強制的に海峡を開く場合、軽装部隊では不十分であり、戦車や重装備を伴う大規模地上軍が必要となる。この作戦は高リスクで多大な損害を伴うだけでなく、成功後も海峡維持のために長期駐留が必要となるため、戦略的コストが極めて高い選択肢と評価されている。
一方で、より限定的な選択肢として議論されているのが、通過するタンカーの拿捕によるイラン収入の遮断である。これは海峡そのものを開放するのではなく、通過できた原油を押さえることでイラン経済に打撃を与える戦術である。しかしこの手法も、世界の石油供給をさらに混乱させ、結果としてエネルギー価格を一層押し上げる可能性が高く、米国自身の経済的負担を増幅させるリスクを内包している。
外交面では、唯一現実的な仲介者としてロシアの役割が議論されている。ロシアはイランに対して一定の影響力を持つとされ、米国にとっても「面子を保った撤退」を可能にする存在となり得る。しかし、この選択肢には重大な制約がある。第一に、米国内のネオコン勢力はロシア仲介を強く拒否する可能性が高く、これは彼らの「米国万能」的世界観と根本的に衝突する。第二に、イラン側もロシアに対する歴史的な不信感を持っており、そもそも仲介そのものを拒否する可能性がある。このため、外交的出口は理論的には存在するが、政治的・心理的障壁によって実現困難とされる。
さらに戦争は、エネルギー市場だけでなく軍需面にも重大な影響を及ぼしている。イスラエルおよび米国側では迎撃ミサイルの不足が深刻化しつつあり、防空網に穴が生じる可能性が指摘されている。一方で、イランは依然として1日30~50発規模のミサイル攻撃を維持しており、十分な備蓄を保持している可能性が高いと分析される。また、ドローンについては生産が容易であるため、長期的にも供給が維持されると見られている。加えて、米国は将来の対中戦争(台湾有事)を想定した備蓄を抱えており、この戦争で弾薬を消耗しすぎることは戦略的リスクとなる。
最後に、最も深刻な論点として、原油価格の上昇が世界経済に与える影響が議論される。仮に価格が1バレル200ドルを超える水準に達すれば、産業活動の維持が困難となり、世界的なインフレと景気後退が同時発生する可能性が高い。これはロシアを含め、いずれの産油国にとっても長期的利益とはならない。したがって、現在のエネルギーショックは持続可能ではなく、最終的には需要崩壊や価格急落を伴う調整が起きると予測される。
総合すると、本分析は、現在の戦争構造が軍事的にも経済的にも「詰み(ツークツワンク)」に近い状態にあると結論づけている。すなわち、どの選択肢も重大なコストやリスクを伴い、決定的な解決策が見当たらないまま、戦争は長期化へと向かう可能性が高いという認識である。