Marjorie Taylor Greene(MTG)2025年 60 Minutes インタビュー
番組は、マージョリー・テイラー・グリーン(MTG)の突然の辞任劇を「完全に予想外の衝撃」として紹介する。彼女は長年トランプ前大統領の最も激しい擁護者として知られ、MAGA運動の象徴的な“戦う議員”という位置づけだった。しかし、2025年末に任期を1年残して辞職を発表した背景には、トランプとの深刻な断絶があると番組は示唆する。特に、彼女がエプスタイン事件の被害女性の側に立って文書公開を求めたことに対し、トランプが“裏切り者”と呼んで激しく攻撃したことが転機となった。MTG自身によれば、この批判の直後に自宅へのパイプ爆弾脅迫、そして息子に対する直接の死の脅しが届いたと語り、これらはトランプの言動が「脅威の温床を生み出した」結果だと強く非難している。
同時に、MTGとトランプの対立はエプスタイン問題だけではなく、外交政策やMAGAの方向性をめぐる本質的な路線対立でもあった。彼女は、トランプがアルカイダ元指導者(現シリア大統領)やサウジ皇太子、ニューヨークの民主党ソーシャリスト系市長を相次いでホワイトハウスに迎え入れたことを問題視し、これが“アメリカ第一”の理念に反すると批判する。さらに、暗号資産業界への優遇策、ビッグファーマ(製薬業界)への迎合、イスラエル寄りの姿勢などを挙げ、「大統領はエスタブリッシュメント側に完全に傾いた」と指摘。MAGA運動の原点である反グローバル・反既得権益路線から逸脱したと断じ、自身もそれを批判したために排除されたと語る。
番組は、彼女が議会内外で引き起こしてきた過激な言動にも改めて光を当てる。911陰謀論やパークランド銃撃事件を“やらせ”と主張した過去、バイデン大統領への罵倒、メディアとの応酬など、アメリカ政治の“毒性”を高めた一因とされてきたことを紹介する。一方で、彼女は最近になってCNNで“毒々しい政治に加担したことを謝罪”したが、番組中でも司会者との激しい言い争いが起き、その変化が本物なのか疑問が呈される。また、彼女はガザ情勢を「ジェノサイド」と呼び、反ユダヤ主義非難決議に反対票を投じるなど、共和党主流派と距離を置く姿勢を鮮明にしている。AIPACを名指しで批判し、イスラエルロビーと共和党の結びつきを問題視する姿勢は、MAGA内でも亀裂を生みつつある。
さらにMTGは、共和党議員たちの「トランプへの恐怖政治」を暴露する。多くの議員が裏ではトランプを嘲笑していたにもかかわらず、2024年の予備選でトランプが勝つや否や態度を急変し、「尻尾を振るように彼を崇拝し始めた」と語る。議員たちは、トランプに批判されると脅迫や嫌がらせを受けることを恐れ、真の意見を言えないと指摘。自身が脅迫を受けた経験を踏まえ、共和党内部が沈黙と恐怖に支配されていると強調した。これにより、彼女の辞任は単なる個人の対立以上に、共和党とMAGA運動の深部に潜む構造的危機を示すものとして描かれている。
最後に、番組は「MTGの今後の政治的野心」を問いただす。しかし、彼女は大統領・上院・知事のいずれにも出馬するつもりは全くないと断言し、人々がそれを信じようとしないことに苛立ちを見せる。彼女は「崖から飛び降りたけれど、どこに泳いでいくか決めていない」と語り、政治的計算ではなく信念による行動だと主張して締めくくる。だが番組は、彼女がトランプから最も劇的に離反した人物として、今後も米政治に影響を与える存在であり続ける可能性を示唆してインタビューを終えている。
