大ピンチのドイツのショルツ首相は、持ちこたえられるか?

ドイツの政権基盤が大きく揺らいでいる。

 
 
 
 
 

1113日のIan Bremmerの“GZERODAILY”

Germany’s political crisis, explained”

の投稿では、ドイツの政治的混乱について、

「政権に就いて3年も経たないうちに、ショルツ首相の中道左派社会民主党、環境保護主義の緑の党、企業寄りの自由民主党によるいわゆる「信号機」連合は、116日にショルツ首相が財務大臣と自由民主党のクリスチャン・リンドナー党首を無礼にも解任したことで崩壊した。」

とその状況を説明し、今回の財務大臣の解任の直接的な原因について

「この動きは、来年度の連邦予算の約100億ユーロの穴をどう埋めるかをめぐる数か月に及ぶ厳しい交渉の末に起こった。

連立政権の進歩派パートナーは、インフラ、防衛、キエフへの援助(ドイツは米国に次いでウクライナへの軍事援助の第2位の拠出国)への支出を増やすため、さらなる借金をすることに賛成した。

財政的に保守的なFDPは、ドイツの対GDP債務比率が低いにもかかわらず、いかなる新たな借り入れにも反対し、福祉給付を減らし、ドイツの不況を悪化させ、キエフへの支援を縮小することになる税金と支出の削減を主張した。」

と報じた。

ショルツ首相のこの決定により、リンドナー党は正式に連立政権から離脱し、ショルツ首相は少数政権となった。

1112日のRT

German election set for third anniversary of Russia-Ukraine conflict – media”

の記事では、今後の政局に伴うスケジュールについて、

「この事態を受けて、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は、早期投票を呼びかける用意があると述べ、“安定した多数派と行動力のある政府”が必要だと付け加えた。

ショルツ首相は当初、1月中旬に信任投票を実施し、3月下旬の選挙実施を目指したが、キリスト教民主同盟(CDU)は早ければ119日にも実施するよう求めたという。

DPA通信によると、最終的に両者は合意に達し、ショルツ首相は信任投票を1216日に前倒しすることになった。」

と述べ、 もし政府がこの投票で敗れれば、

「シュタインマイヤー大統領は21日以内に議会を解散することができる。 その後、60日間の期限で新しい選挙が行われる。 ドイツの通信社によると、223日がこの期限にあたる。」

と報じている。

1111日のRT

German election frontrunners won’t work with Scholz – CSU”

の記事では、ドイツの保守政党のキリスト教社会同盟 (CSU)の動きについて、

「バイエルン州の(CSU)のマルクス・ソーダー党首は、ドイツの保守派はオラフ・ショルツ氏が首相を辞任した場合のみ、社会民主党(SPD)と連立を組むと述べた。

ソダー氏は、CSUはより大きなキリスト教民主同盟(CDU)と共に、ドイツ政治において伝統的に統一戦線を形成しているが、保守派は他の政党を連立相手の候補としては考えていないと付け加えた。」

と報じた。

さて、今後の動向についてであるが、前述のGZERODAILYの投稿では、各政党の支持率については以下のように紹介している。

  • 野党のキリスト教民主・社会同盟の中道右派連合は、 全国世論調査で34%の支持率でトップに立っている。「信号機」連立政党のうち、ショルツ氏の社会民主党は約16%の支持率で、緑の党は11%で推移している。一方、リンドナー氏の自由民主党は現在、議会進出に必要な5%の基準を下回っている。

  • 極右政党「ドイツのための選択肢」は17%の支持を得て全国で2番目に支持されている政党だが、他の政党はいずれも連立政権を組む可能性を明確に否定し続けている。9月の州議会選挙で大きく躍進した、親ロシア、反移民、左派の新政党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟」はAfDほど国内での影響力は強くなく、支持率は6%だ。

今後の政局については、同投稿では、

「もちろん、選挙まではまだ3か月以上あるし、特に政権崩壊後にはこれらの数字は変わるだろう。」

と断った上で、

「しかし、大きなサプライズがない限り、CDUのメルツ氏が1949年以来10人目のドイツ首相になることはほぼ確実だ。

保守派にとって最も自然なパートナーであるFDP5%を突破できないと仮定すると、唯一の未解決の問題は、次期政権がCDU/CSUSPDの大連立政権になるのか、それともこの2党と緑の党を加えた別の3党連立政権になるのかということだ。」

と述べている。

ショルツ氏の人気はここ数カ月低迷しており、ドイツ国民の過半数が首相としてのパフォーマンスに不満を抱いていることから、ショルツ氏を 史上最も不人気な首相 と烙印を押す国内メディアも出て来ている。

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