イスラエルはイランに報復攻撃を行えるか?

イスラエルは、イランが2024年10月1日に行ったミサイル攻撃への対応について検討している。

正式な報復はまだ行われていないが、イスラエルの指導者たちは潜在的な選択肢について議論し、意図する対応について警告を発している。

 
 
 
 
 

10月11日のAXIOSの

“Biden and Netanyahu closer to consensus on Israel’s plans to attack Iran”

の投稿の中で

「バイデン大統領とベンヤミン・ネタニヤフ首相は水曜日の電話会談で、イスラエルが計画している対イラン報復の範囲について合意に近づいたと、アメリカとイスラエルの高官3人がAxiosに語った。」

と報じている。

この投稿では、以下の3点が強調されている。

  • 「現在の計画は、ホワイトハウスが望むよりもまだ少し攻撃的である。」、とイスラエル高官は語った。

  • しかし、バイデンとネタニヤフの電話会談の後、ある米政府高官は「我々は正しい方向に進んでいる」と述べた。別の米政府高官は、電話会談の後、「政権はイスラエルの計画について少し神経質にならなくなった。」、と語った。

  • イスラエル政府高官はまた、「攻撃の性質と範囲に関する米国とイスラエルの間のギャップは縮小した。」と述べた。

イスラエルの報復攻撃の今後の成り行きについては、この投稿では、

「イスラエル政府高官によれば、イスラエル安全保障内閣は現地時間の木曜夜、イラン攻撃計画とバイデン政権との合意についてのブリーフィングを行った。」

と報じ、

「安全保障内閣は、ネタニヤフ首相とヨアヴ・ギャラント国防相に攻撃のタイミングを決定する権限を与える模様である。」

として、今後の展開については、

「イスラエルの当局者によれば、イランへの報復に関する米国とイスラエルの実務者協議は木曜日も継続され、今後数日間も続くという。」

と述べている。

一方、10月10日のRTの

“Iran will retaliate against any Israeli attack on energy sector – source to RT”

の記事では、

「イランは、自国の石油・核施設を含むイスラエルによるいかなる潜在的な攻撃に対しても、自国を防衛し報復する用意が十分にある。」

と言うテヘランの事情通によるRTへのコメントを紹介している。

これによると、

「“潜在的な攻撃に対する報復は、国内および国際的な規範に基づき、比例的に行われる。”」

と同筋は説明した。

例えば、イスラエルがイランの石油インフラを標的にした場合、テヘランはそれに応じて同国の3つの主要製油所を攻撃するだろう。」と例示している。

イランは、10月1日にイランに対して大規模な弾道ミサイルを発射した。

この攻撃は7月にテヘランで殺害されたパレスチナ・ハマスの政治指導者イスマイル・ハニェの暗殺と、先月レバノンで殺害されたヒズボラの指導者ハッサン・ナスララに対する報復だと述べており、イランはイスラエルに対し、いかなる報復措置も取らないよう警告し、それはさらなる攻撃の応酬を招くだけだと警告している。

イスラエルが仮にイランに報復攻撃した場合、イランによる三度目なるであろう、イスラエル攻撃を当然想定しないといけないが、その際には軍事的には以下の2点が重要なポイントになるのではないか。

迎撃ミサイルのタイトな備蓄状況

10月8日のISRAEL DEFENSEの

“Analysis | A Successful Air Defense Requires Awareness of Its Limitations”

によると、

「イスラエルの防空システム、特にアロー・システムの迎撃ミサイルの備蓄には限りがある。

最近の4月14日と10月1日の攻撃で、イスラエルはすでに数十億シェケルの迎撃費用を負担しており、国の資源を圧迫している。 一方、イランは数千発の弾道ミサイルを保有しており、イスラエルの防衛能力を圧倒する可能性がある。」

と指摘している。

イスラエルの防空システムの脆弱性

前述の記事では、

「イランは極超音速ミサイルを保有していると主張しているが、専門家はこれを疑っている。 しかし、ロシアがウクライナ戦争への支援と引き換えに、そのようなミサイルをイランに提供するのではないかという懸念がある。」

ことを紹介している。

このように、イランとイスラエルの軍事的緊張が高まる中で、10月10日にRTに掲載された、歴史家であるTarik Cyril Amar氏による

“Has Iran just tested a nuclear weapon?”

と言う署名記事では、

「2024年10月5日、イランのセムナン地域で発生したマグニチュード4.6の地震は、地下核実験の可能性をめぐる世界的な憶測を引き起こした。」

と述べている。

また、その戦略的な影響として、

「もしこの地震が実際に核実験だったとすれば、中東の戦略的バランスを大きく変える可能性がある。イランが核兵器を獲得すれば、イスラエルや西側諸国の攻撃に対する強力な抑止力となるだろう。イランのミサイル能力は既にイスラエルの防空システムを圧倒できることが示されており、この発展は特に重要である。」

と分析している。

更に、国際関係と核拡散に関しては、

「2018年のイラン核合意(JCPOA)の崩壊とその後の再建失敗が現在の状況に寄与している。」

として記事の中では、イスラエルへの支持や国際法の無視を含む西側諸国の行動が、イランを自衛手段としての核武装追求に押しやった可能性があると主張している。

イラン当局と地震学者はこの出来事が核実験だったことを否定しているが、事件を取り巻く曖昧さが継続的な憶測を助長しており、地震波の正確な性質や震源地の位置は、専門家の間で議論の的となっているようだ。

前述のAXIOSの投稿によれば、バイデン大統領とベンヤミン・ネタニヤフ首相は水曜日の電話会談で、イスラエルが計画している対イラン報復の範囲について合意に近づいたとされてるが、イスラエルが報復攻撃を行えば、中東における地域紛争が拡大することは間違いなく、イスラエルの外交的な孤立が益々際立つことになり、11月の大統領選挙まで30日に切っている中で、中東地域に於ける米国の指導力の欠如が改めて問われ、次期大統領の選出にも大きな影響を与えるだろう。

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