米国企業によるDEIへの後退_Update 1

8月には、米国企業によるDEIへの取組みが後退しているニュースを採り上げたが、また、北米を代表する企業から同種の報道があったので、これを紹介する。

また、後段ではESGの取組みの中でも、化石燃料や伝統的な電源に関しては、脱炭素・再生可能エネルギーへの移行に向けて、非常に大きな取組みが世界的に実践されて来たが、一方で反ESGの動きも無視出来ない規模で進行している中、この反ESGに関する面白い記事も出ていたので、併せて紹介することとしたい。

 
 
 

9月4日のBloombergの”モルソン・クアーズも多様性への取り組みから後退-反DEI派が圧力”では、

「ビール会社の米モルソン・クアーズ・ビバレッジは、企業としてのダイバーシティー(多様性)への取り組みを一部減らす。」

と報じ、従業員宛ての文書で、

「サプライヤーの多様性目標の廃止や性的少数者(LGBTQ)の擁護団体ヒューマン・ライツ・キャンペーンの企業ランキングに参加しないなどといった方針を説明した。」

と述べた。

これまでDEIの取組みからの後退の影には、保守派活動家のロビー・スターバック氏からエンゲイジメント活動があったが、この件について、同記事では、

「ソーシャルメディアX(旧Twitter)の自身のアカウントに文書のコピーを投稿し、モルソン・クアーズのDEIへの取り組みに対して攻撃を開始する準備をしていたと記していた。」

と報じた。

一方、9月5日のBloomberg の”反ESG、脱化石燃料急かす「愚か者」が誘発-ヘッジファンド創業者”と言う記事の中では、

「ウォール街で論争の的になっているESG(環境・社会・企業統治)投資に対して擁護派が最初からもう少し穏健な姿勢を示していれば、これほど窮地に陥ることはなかったかもしれない。ヘッジファンド業界のベテランでヘイマン・キャピタル・マネジメント創業者のカイル・バス氏が、こうした見方を示している。」

と報道した。

同記事の中で、バス氏の分析を紹介し、同氏は

「気候変動活動家は炭化水素関連企業を事業や資本受け入れから締め出せと言う愚か者ばかりだった。」

と報じ、

「今はエネルギー効率と電化に重点を置き、長期的には原子力への完全移行を目指すべきだとも指摘。それまでは、化石燃料と再生可能エネルギーが今後何十年も共存していくことを受け入れる方が現実的だ」

と語ったと伝えた。

 
 

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