米国によるウクライナへの長距離兵器の供与は実現するのか?

ウクライナがロシア・クルスク地方への奇襲攻撃を一定のレベルで成功させて以来、この奇襲攻撃は事実上、NATOによりロシア領土内への侵略と見做される懸念が台頭して来ている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、この奇襲攻撃の成功により、来るロシアとの休戦協定の交渉で有利に立てる状況を作り上げることが出来たと自画自賛であったが、面子を潰された感のあるプーチン大統領は、休戦交渉に入る意思は全くないと素っ気ない対応を取った。

一方、ロシアは8月下旬から、ウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を開始し、更にウクライナへの長距離ミサイルで、ポルタヴァ市にあるウクライナの訓練センターなども攻撃するなど、再び攻勢を強めている。

 
 
 
 
 

このような状況下で、8月30日のDWの

“Ukraine to present US with list of Russian targets”

の動画ニュースがアップされ、

「ウクライナの高官がワシントンを訪れ、長距離兵器の制限を解除するよう米国を説得している。 アメリカはウクライナに長距離ミサイルシステムを供給しているが、これまでロシア領内での使用を禁じてきた。」

と報じた。

クルスク地方への奇襲攻撃だけでも、ロシアとNATO軍の全面戦争の可能性が格段に上がったとの懸念がある中で、今度は米国がウクライナにロシア領土内へ打ち込むことが可能な長距離ミサイルの供与に合意しようだと言う観測記事が出て来た。

9月3日のReutersの

“US close to agreeing on long-range missiles for Ukraine; delivery to take months”

の記事では、

「米国は、ウクライナにロシア奥深くまで届く長距離巡航ミサイルを供与することで合意間近だが、米国が技術的な問題を解決しながら出荷を進めるため、キエフは数カ月待つ必要がある」

と米当局者が語ったと報じた。

また、同記事では、

「武器パッケージに統合空対地ミサイル(JASSM)が含まれることは、今秋にも発表される見通しだが、最終決定は下していない」

と3人の情報筋のコメントを紹介した。

更に、同記事では

「ウクライナにJASSMを送れば、バイデン政権が重要視している強力な精密誘導弾の射程圏内にロシアが入ることになり、紛争の戦略的様相が大きく変わる可能性がある。」

と指摘し、 軍事アナリストの

「ステルス性が高く、ウクライナが現在保有している他のミサイルよりも遠くまで攻撃できるJASSMの導入により、ロシアの準備区域や補給基地を数百マイル後退させることができる。」

と言うコメントを報じた。

この報道に対して、ロシアも反発。

9月4日のRTの

“US knows Russia’s red lines – Lavrov”

の記事では、

「セルゲイ・ラブロフ・ロシア外相は、ウクライナに長距離ミサイルを供与するいかなる決定も、モスクワの“レッド・ライン”を越え、第三次世界大戦の引き金になりかねないことを、アメリカは十分承知している、と警告した。」

と報じた。また、

「アメリカはすでに、彼らが設定したレッド・ラインを踏み越えている」

と言う外相の発言を伝えた。

バイデン政権が何故、第三次世界大戦の引き金になりかねない、挑発的な行動を取り続けるのか、心底分からないが、ロシアの攻撃を受け続けるウクライナ人民のことを最優先に考えていないことだけは確かである。

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