プーチン大統領のモンゴル訪問を巡る、気になる動き

この間の週刊ニュースでも、9月3日からプーチン大統領のモンゴル訪問を取り上げたが、世界のメディアは、モンゴルが昨年プーチン大統領に逮捕状を発行した国際刑事裁判所(ICC)の加盟国であるにもかかわらず、プーチン大統領がモンゴルを訪問して、逮捕すらされかったことを非難する記事でほぼ一色となった。

 
 
 
 
 

9月3日のThe GuardianのUkraine condemns Mongolia over failure to arrest Putin on visit では、以下のように取り上げている。

  • ウクライナは、国際刑事裁判所(ICC)が昨年プーチンに逮捕状を出して以来、初めてプーチンを逮捕しなかったモンゴルに対し、「結果」に直面するよう要求した。 プーチンは火曜日、ロシアと中国に挟まれた人口の少ないモンゴルを公式訪問し、ウクナアギン・ヒュレルシュク大統領と会談し、レッドカーペットの歓迎を受けた。
 
 
  • ウクライナ外務省のヘオルヒイ・ティキイ報道官は、プーチンを逮捕しなかったモンゴルの決定を「ICCと国際刑事司法制度への大打撃」と呼び、「モンゴルは起訴された犯罪者を司法から逃がすことを許し、それによって彼の戦争犯罪の責任を共有することになった。 我々はパートナーと協力し、このことがウランバートルに結果をもたらすようにする」とティヒイはXに書いた。

この記事にあるように、プーチン大統領は逮捕どころか、レッド・カーペットの歓迎を受けていたと言うのである。

9月3日のRTの

“Mongolia explains why it didn’t arrest Putin”

では、モンゴルがプーチン大統領を逮捕しなかった理由を取り上げており、

「モンゴルは石油製品の95%、電力の20%以上を近隣諸国から輸入しており、以前は技術的な理由で中断を余儀なくされた。この供給は、モンゴルの存立と国民の生活を保障するために不可欠です」

と、政府報道官は火曜日にポリティコEUに電子メールで語ったと報じている。

国際刑事裁判所(ICC)、ウクライナ、EUはいずれもウランバートルに対し、ウクライナの子どもたちを「強制送還」した2023年の令状を理由に、ロシアの指導者を逮捕するよう求めていたが、

「モンゴルはすべての外交関係において、常に中立の立場を維持してきた。」(同記)

として、ロシアへの経済依存度を理由にプーチン大統領の逮捕には至らなかった。

また、同記事では、

「ICCは、モンゴルが令状を執行しなかったことを正式に非難することはできるが、罰金や制裁などの罰則を科す権限はない。」

と述べる一方で、

「ロシアはローマ規程の締約国ではないため、ICCの令状は無効だと考えていると述べた。」

と報じている。

今回のプーチン大統領のモンゴル訪問で関心を集めていた、「パワー・オブ・シベリア2」に関しては、9月3日のBloombergの

“Putin Boosts Russia-Mongolia Economic Ties in Contentious Visit”

で、

「ロシアは、モンゴルを経由して中国に至る新しいガスパイプライン“パワー・オブ・シベリア2”の建設を目指しているが、エネルギー大手ガスプロムと北京の間で供給契約に関する協議が続いているため、このプロジェクトは遅々として進んでいない。」

とこれまでの現状を説明した上で、プーチン大統領が声明の中で、

「これは単にロシアのガスをモンゴルを経由させるだけの話ではない。この燃料をモンゴルの消費者に供給する可能性も検討されている」

とし、ロシアのガスプロムはモンゴルのガス化を支援する用意があると述べたことを報じた。

また、同記事では、

「プーチン大統領は火曜日、ウランバートルでモンゴルのフレルスフ・ウクナア大統領と会談し、エネルギー、貿易、輸送、ロシア・モンゴル・中国間の経済回廊を拡大するプロジェクトなどの協力協定に署名した。」

と述べた。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール