プーチン大統領のモンゴル訪問を巡る、気になる動き

2024年9月3日のプーチン大統領のモンゴル訪問では、幾つかの重要なテーマが中心となっている。

 
 
 
 
 

プーチン大統領の訪問の第一の理由について、8月30日の

The Kyiv Independentの”Putin to visit ICC member Mongolia next week”

で取り上げ、クレムリンの発表によれば、

「プーチン大統領は“モンゴルのウフナアギン・フレルスフ大統領の招待で”モンゴルを訪問する。 両首脳は、ソ連軍とモンゴル軍が共同で日本軍を撃退したハルクニン・ゴルの戦いから85周年を祝う予定だ」

と伝えた。

このイベントは、ロシアとモンゴルの歴史的な軍事協力のハイライトとして重要であるとされている。

また、クレムリンの発表では、両首脳の会談も予定されており、包括的戦略的パートナーシップによるロシア・モンゴル関係のさらなる発展の見通しについて話し合い、現在の国際問題や地域問題について意見交換することになっており、 また、多くの二国間文書に署名する予定であるとしている。

ロシアとモンゴルの間の重要なトピックの1つとして、今回の訪問では、ロシアと中国の双方が関与する天然ガスパイプライン「パワー・オブ・シベリア2」などの地域インフラプロジェクトに関する協議が行われる可能性がある。

パワー・オブ・シベリア2パイプラインは、ロシアのヤマル半島油田からモンゴルを経由して中国にガスを輸送するために計画されている天然ガスパイプラインである。

パイプラインの容量は年間500億立方メートルで、約2,500キロメートルに及ぶ。特に地政学的緊張と制裁によってヨーロッパでの市場シェアを大きく失った後では、エネルギー輸出を多様化するロシアの戦略の一環である。

8月19日のUnited24 Mediaの

“Mongolia Excludes Russian-Chinese Power of Siberia 2 Pipeline from 2028 National Development Plan”

では、パワー・オブ・シベリア2パイプラインが通過するはずだったモンゴルは、2028年までの国家開発計画にガスプロムのガスパイプラインを含めなかった、とサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙の報道を引用して報じている。

同記事によれば、モンゴル国家安全保障会議の元幹部であるムンクナラン・バヤルクハグヴァ氏は、

「モスクワはもはや北京から望むような取引を得られるとは考えておらず、おそらくより良い時期が来るまでプロジェクトを中断するだろう」

と語ったとされる。

更に、モンゴルは、80億ドルから150億ドルと見積もられるガスパイプラインの建設による投資の流入を期待していたが、

「ロシアには資金がなく、中国も建設を急いでいない」

と上海社会科学院のロシアと中央アジアの専門家である李立帆氏のコメントを紹介している。

これに対して、8月21日のRTの

“Russia issues new update on China gas pipeline”

では、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は

「ロシアの天然ガスを中国に供給するためのパイプライン“パワー・オブ・シベリア2”の準備態勢は依然として高いレベルにある。」

と述べたとしている。

更に、同記事では、モンゴルについての質問について、

「当初、モンゴルのパートナーが通過国という限定的な役割を望んでいたのであれば、現在では、安価なパイプラインガスの一部を自国の経済、産業、インフラの発展に利用する可能性が検討されている」

と述べたと報じ、ザハロワ氏が、

「このプロジェクトは中国とロシアが価格と量について合意した後に進められると強調し、ロシアのエネルギー大手ガスプロムと中国石油総公司の間で交渉が続いていると付け加えた。」

と伝えている。

いずれにせよ、両首脳会談後、パワー・オブ・シベリア2の進捗に何らかの発表があるのではないだろうか。

今回のプーチン大統領のモンゴル訪問に際して注目されるもう1つの理由は、モンゴルが昨年逮捕状を発行した国際刑事裁判所(ICC)の加盟国であるにもかかわらず、プーチン大統領が来週モンゴルを訪問する予定であるからだ。

8月30日のAljazeeraの

“Russia’s Putin to visit ICC member Mongolia despite arrest warrant”

では、ロシア国営通信RIAノーボスチが報道を引用して、

「金曜日、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、この訪問について“心配はない”と述べた。」

と報じた。

ICCの設立条約であるローマ規程により、ICC加盟国は逮捕状が発行された容疑者が自国に上陸した場合、拘束する義務があるとされており、同記事では、

「金曜日、ウクライナはモンゴルに対し、プーチンがモンゴルを訪問したら逮捕するよう求めた。」

と伝えている。

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