TikTokの米国に於ける利用禁止_Update

TikTokの米国での利用禁止については最近は報道も少なくなっているので、その後の状況についてアップデートしようと思う。

最新の状況を踏まえると、TikTokの米国での利用禁止をめぐる問題は依然として複雑な様相を呈しており、以下に主要なポイントをまとめてみる。

 
 
 

1. これまでの状況

2024年4月に、バイデン大統領は、親会社であるByteDanceが指定された期間内にプラットフォームから撤退しない場合、米国における、TikTokの全国的な禁止につながる可能性のある法案に署名した。

ByteDanceはTikTokの米国事業を切り離し、ByteDanceの傘下から独立させる為に9ヶ月間を与えられており、これに向けて実質的な進展があった場合は3ヶ月間延長される可能性があり、最終期限は2025年1月、延長された場合は2025年4月になる可能性があるとされている。

以前からこの問題については言及して来たが、ByteDanceと言う企業は,実はケイマン籍の企業で、この傘下にTikTokを運営する企業があると言う構造になっており、尚且つ、ByteDance の株式は、創業者、従業員、投資家の三者で構成されており、かつては米国でのIPOを視野に入れて準備していた時期もあったとされる。

この株主構成も、米国の事業を第三者に株式譲渡あるいは事業譲渡を困難にしている理由の一つである。

2. TikTokの対応と訴訟の論点

TikTokの訴訟は、2024年5月に米連邦巡回控訴裁判所に提訴された。

同社はまた、この訴訟の判決が出ている間、法律の施行を停止するための停止命令または仮差し止め命令を求める可能性がある。

この訴訟では、新しい法律がTikTokと言う単一のプラットフォームをターゲットにし、潜在的にそれを禁止することは、米国の憲法修正第1条の権利を侵害し、米国人のユニークなオンラインコミュニティへのアクセスを制限していると主張している。

TikTokは、この法律は「明らかに違憲」であり、説得力のある理由を示さず、ByteDanceとTikTokを不当にターゲットにしていると主張しており、また、TikTokが禁止された場合、同サービスの1億7000万人の米国人ユーザーとそれに依存するビジネスに大きな影響を与えると強調している。

この法律は、米国に於けるTikTok禁止への明確な道筋は示されたが、実際の施行は不透明なままである。裁判所は憲法修正第1条の権利と国家の安全保障上の懸念のバランスをどこに置くべきかの判断を求められることになる。

3. 複雑な状況

ByteDanceは、法律により定められた時間枠内にTikTokを売却することは、商業的にも技術的にも法的にも実現可能ではないと述べています。

同社はTikTokを売却する意図はなく、そうするには数百万行のコードを移管し、中国政府の承認も得る必要があると主張しており、同政府がそのような移管に同意する可能性は低いと見られている。

4. 米国大統領選挙により影響

この訴訟の行方が更に混沌しているのは、2024年11月の米国大統領選挙の結果がこの裁判に大きな影響を与えると見られているからである。

特に、トランプ前大統領が米政権に復帰した場合、TikTok禁止の可能性に対する彼のスタンスが結果に大きく影響する可能性がある。

現在のトランプ大統領は、ソーシャル・メディア間の競争の重要性を強調しており、特にフェイスブックやインスタグラムのようなプラットフォームに対しては、1月6日の国会議事堂暴動後のアカウント停止処分(現在は、解除)により不利に見ており、トランプ前大統領トランプは「競争が必要だからTikTokに賛成だ」と公言している。

トラン前大統領が政権に復帰した場合には、TikTokの米国の利用禁止に反対し、ソーシャル・メディア市場に於ける競争を擁護し、代替的な規制措置を通じ、国家安全保障上懸念に対処する可能性が高いと見込まれる。

5. 司法省の動き

7月27日のabcNEWSの

“DOJ claims TikTok collected US user views on issues like abortion and gun control”

の記事の中で、

「世界で最も人気のあるテクノロジー企業のひとつであるTikTokに対し、司法省は、銃規制、妊娠中絶、宗教といった分断的な社会問題に対する見解に基づいてユーザーの情報を大量に収集する機能を利用していると非難している。」

と述べ、

「政府弁護団は、TikTokとその北京にある親会社ByteDanceが、TikTokの従業員が中国のByteDanceのエンジニアと直接会話できるようにするために、Larkと呼ばれる内部ウェブスイートシステムを使用していたと、ワシントンの連邦控訴裁判所に提出した金曜の深夜の文書に書いている。」

と伝えた。

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