ウクライナ政府は、数十億ドル相当の債務リストラで債券保有者と原則合意

7月22日のPoliticoの“Ukraine strikes deal to delay debt repayments”で、ウクライナ政府がオフショア市場で発行した国債の債務リストラクチャリングが大口の債権者との間で合意に達した内容を以下のような要旨で報道しています。

 
 
 
  • この取引により、ブラックロック、アムンディ、アミアキャピタルを含む世界トップクラスの投資ファンドが、現在保有する債券を最長12年の新債券と交換することで、234億ドルの債権の大部分を事実上償却することになる。新債券は、ウクライナが今後数年間に直面する支払いの大部分を繰り延べる仕組みになっている。そのため、2033年までの返済額は75%削減される。

  • この取引により、今後3年間で114億ドル、2033年までで227億5000万ドルの債務返済が節約されることになる。

  • この協定は今のところ「原則合意」であり、法的効力を発生させるには債券保有者の3分の2の批准が必要である。この合意に基づき、ウクライナの民間債権者は名目37%の「ヘアカット」を受け入れ、ウクライナの債務ストックの85億ドル以上を帳消しにする。同協定はまた、ウクライナの経済が現在の予想よりも著しく回復した場合(言い換えれば、戦争が終結し、一定の復興が可能になった場合)、債券保有者に長期的により高い回収の可能性を提供する。

7月22日のRTの“Ukraine writes off billions in debt”でもこのニュースを取り上げており、この債務リストラクチャリングについて、

「ウクライナは、キエフが国際市場へのアクセスを維持しようとする中、200億ドルの債務を再構築するため、外国投資家グループと基本合意に達したと政府が発表した。」

と述べ、国際通貨基金(IMF)は、この取引がキエフに対する1220億ドルの支援パッケージのパラメーターに適合していることを確認したと報じられた。

声明によると、IMFとキエフの債権者であるアメリカやパリクラブは、この取引に署名したという。」と報道している。

また、RTの同記事には、今回の債務リストラクチャリングのタイミングについて、

「ウクライナの発表は、債務停止協定の期限切れまであと1週間と迫ったタイミングであり、紛争中に債務再編に乗り出した初めての国である。

先週、キエフは、投資家との再建合意がまとまるまでの間、支払いを怠り債務不履行に陥ることを認める法律を可決した。」

と報道しており、ぎりぎりのタイミングで大口債権者と合意が出来た様子を伝えている。

更に、同記事では

「この提案では、債権者たちは既存の債権を2つの債券シリーズに再編成することで合意した。

最初の標準的な債券シリーズは、2025年から1.75%のクーポンを支払い始め、2029年に資本支払いが開始され、7.75%に達するだろう。

予備契約の条件によると、債権残高の23%を占める第2のシリーズは、ウクライナの経済が2028年にIMFの予想を上回った場合、より高い支払いを提供する。」

と詳細な債務リストラクチャリングを紹介している。

前述のPoliticoの記事では、マドリッドにあるIESEビジネススクールのジェルマン・ロペス・エスピノサ教授のコメントが紹介されているが、それには

「この合意によって、彼らは今後どうなるかを考えるための追加的な3年間を得ることになる。私たちは3年以内に戦争が終わることを望んでいるが、それは誰にもわからない。」

と述べた。

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