米国連邦最高裁、1月6日の国会議事堂暴動事件での起訴を覆す可能性、業務妨害罪への適応を限定する判決

米国の連邦最高裁判所が重要な判決を次々と出していますが、6月28日(金)に最高裁は1月6日の訴訟で妨害罪の適用を制限し、トランプ大統領と他の数百人の被告に潜在的な影響を与える高い判決を出しました。

6月28日のNY Postの“Supreme Court narrows use of obstruction charge in Jan. 6 cases, affecting Trump and hundreds of other defendants”の記事では、以下のように本件を取り上げています。

    • 金曜日の訴訟で問題となったのは、エンロン会計不正スキャンダルの余波で可決され、公務妨害罪の根拠として使われている2002年サーベンス・オクスリー法の技術的な解釈だ。

    • 同法は、「記録、文書、その他の物を改ざん、破壊、切断、隠蔽する、またはそうしようと試みる行為、または公務での使用におけるその物の完全性または可用性を損なう意図を持つ、あるいは公務を妨害、影響、または妨げる、またはそうしようと試みる」行為者に対して刑事責任を課すと規定している。

    • 「政府は、被告が公的手続きで使用される記録、文書、物品、あるいは先に説明したように、その他のものの利用可能性や完全性を損なったこと、あるいはそうしようとしたことを立証しなければならない」とジョン・ロバーツ裁判長は多数意見で書いた。

何故、金曜日の判決が1月6日の国会議事堂の暴動事件に直接関連しているかと言うと、2002年サーベンス・オクスリー法上の公務妨害罪は、国会議事堂暴動に関わる約350件の起訴で使用されていますが、実際に公文書やその他の物品を改ざんしたとして告発された被告は一部に過ぎず、金曜日の連邦最高裁判所の判決により、被告によっては、訴追の棄却、再判決、司法取引の取り下げ、あるいは新たな裁判の請求がなされる可能性があるとされています。

(この約350件の起訴には、トランプ大統領も含まれています。)

NY Postの記事にあるように、この裁判は、2002年のエンロン事件後に制定された、本来は証拠改ざんを防止するための法律の解釈を中心に争われたもので、ジョン・ロバーツ裁判長は多数派の意見を代弁し、この法律は文書や証拠隠滅に関わる事件に限定して適用されるべきであると強調した点がポイントになります。

トランプ大統領の1月6日事件に係る起訴への影響については、6月28日のCBS Newsの“Supreme Court limits scope of obstruction charge levied against Jan. 6 defendants, including Trump”の記事の中でも、

「トランプ氏の事件に関する最高裁の判決にどのような影響が及ぶかは現時点では明らかではないが、結果として元大統領は連邦地方裁判所に妨害行為関連の2件の訴因を棄却するよう求める可能性がある。特別検察官のジャック・スミス氏は別の訴訟で最高裁に提出した書類の中で、フィッシャー氏の事件の判決にかかわらず、トランプ氏が文書に関わる偽の選挙人名簿を作成したとされているため、トランプ氏に対する妨害行為の訴因は依然として有効である。」

と述べたとされています。

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