米国連邦最高裁は、トランプ前政権時代のオフショア所得への課税規程を支持

連邦最高裁判所は6月20日(木曜日)に、トランプ前政権時代のオフショア所得に係る税制条項の合憲性を争った夫婦に不利な判決を下しました。

米国政府は、敗訴した場合には、今後の連邦予算に大きなマイナスの影響を与える可能性がありました。

先ず、トランプ前政権時代のオフショア所得に係る課税規程を簡単に要約すると以下のようになります。

  • この課税は、トランプ前大統領が、2017年に施行された2017年減税・雇用法(2017 Tax Cuts and Jobs Act)の下で実行された、強制本国還流税(Mandatory Repatriation Tax (MRT))のことです。

  • このMRTは、トランプ前政権が法人税減税の財源確保と米国企業によるオフショア税逃れを防ぐために考案されたもので、税率通常の法人税率よりも低い税率でこれまで非課税であったオフショア投資所得に1回限りの課税を行いました。
  • ムーアの夫妻は、小規模農家に機器を供給するインドに本社を置くキサンクラフト社への投資により、前述の2017年の法律により15,000ドルの税金を課されました。この法律は、納税者が米国に資金を持ち帰らない限り、これまで非課税であった特定のオフショア収益に1回限りの課税することを認めました。

  • ムーア夫妻がキサンクラフト社に最初に投資した4万ドルの価値は、11年の間に50万ドル以上に膨れ上がりました。2017年の法律施行以前は、夫妻はその「未実現」利益の税金を支払っていなかったので、夫妻は、キサンクラフト社への投資評価額が増加しても、実際にお金を手にしたことはないのだから、課税されるべきではないと主張しました。

6月20日のNPRの“The Supreme Court leaves a Trump-era offshore tax in place on investors”によれば、最高裁は7対2でムーア夫妻の異議申し立てには同意せず、MRTの合憲性を支持しました。

ジョン・ロバーツ最高裁判事、ブレット・カバノー判事、エイミー・コニー・バレット判事、サミュエル・アリト判事、エレナ・ケーガン判事、ソニア・ソトマイヨール判事、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事が賛成、ニール・ゴーサッチ判事とクラレンス・トーマス判事は反対しました。

前述のWashington Postの記事によると、「トーマス判事は、憲法は課税を実現することを要求しており、ムーア夫妻は投資による収入を実現したわけではない」、と反対意見を述べたそうです。

また、前述のNPRの記事では、今回の連邦裁判所の決定について、「保守派からリベラル派まで、税法の専門家たちは木曜日の判決に大いに安堵した。忘れてはならないのは、この税は2027年までに主に大企業から3,400億ドルの収益をもたらすと予想されており、その大半はすでに徴収されており、裁判所が別の結論に達していたらおそらく返済しなければならなかっただろうということだ。」と述べ、多くの専門家が国の税制を不安定にする恐れがあると懸念していた訴訟に終止符を打ったとしています。

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