先週、米国下院で承認された950億ドルの安全保障に係る追加予算について

Braking DefenseのThe Global Dailyによると、 国防総省の指導者たちが数カ月にわたり求めてきた、ウクライナ、イスラエル、台湾への支援資金と米国備蓄の補充のための追加予算が4月21日(土)に承認された。

マイク・ジョンソン下院議長は、ウクライナへの追加資金に反対する極右の共和党議員を迂回させるために、上院の950億米ドルの追加資金をウクライナ、イスラエル、インド太平洋の3つの別々の措置に実質的に分割した。

下院では、ウクライナ法案が311対112、イスラエル法案が366対58、インド太平洋法案が385対34でそれぞれ可決された。

 
 

総額953億ドルの内訳は以下の通り:

  • ウクライナ安全保障法案 : 608億米ドル
  • イスラエル安全保障法案 : 264億米ドル
  • インド太平洋安全保障法案 :  81億米ドル

ウクライナ安全保障法案には、米国備蓄の補充に134億米ドル、防衛技術調達に139億米ドル、ウクライナ向け防衛物資の追加購入に137億米ドル、欧州での米国活動に73億米ドル、ウクライナ支援の監視に260億米ドルが含まれている。

イスラエル安全保障法案には、アイアンドームとダビデのスリングに40億米ドル、アイアンビームに12億米ドル、イスラエルへの対外軍事融資に35億米ドル、米国の在庫補充に44億米ドル、人道支援に90億米ドルが含まれている。

インド太平洋安全保障法案では、潜水艦産業基盤に33億米ドル、台湾支援に20億米ドル、台湾に供与された在庫の補充に19億米ドルが充当される。

潜水艦産業基盤のための資金は、コロンビア級潜水艦の先行調達に19億米ドル、バージニア級潜水艦の先行調達に2億米ドルが追加される。

下院と上院の法案パッケージの最大の違いは、TikTokの国内禁止や、ロシア資産の凍結などの追加措置が含まれていることだ。

前者については、中国のオーナーがソーシャルメディア・アプリの運営企業であるByteDanceから手を引かない限り、アメリカ国内でのTikTokを禁止するものであり、

後者は、差し押さえられたロシアの資産50億ドルをウクライナに譲渡し、ロシアとイランへの制裁を強化するものであり、

この法案は360対58で承認された。

NBC Newsによれば、これは、バイデン政権が米国の銀行に保管されている数十億ドル相当のロシア資産を没収し、復興のためにウクライナに送金することを可能にするREPO法(Rebuilding Economic Prosperity and Opportunity (REPO) for Ukrainians Act.)と呼ばれるものである。

凍結されたロシア資産3,000億ドルのうち60億ドル以上がアメリカの銀行に眠っているとされ、3,000億ドルの資産のほとんどはドイツ、フランス、ベルギーにあると見られている。

昨年浮上したロシアの資産を没収するというアイデアは、経済学者や外交政策の専門家たちの間で熱い議論を呼んでおり、『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿したオピニオン・ライターのクリストファー・コールドウェルは、ロシアの資金を没収するのは「ひどい考え」だと主張した。

「世界の主要基軸通貨としてのドルの地位を弱めかねない。

ドルはおそらく、アメリカが持つ戦略的資産の中で最も価値のあるものだ」とコールドウェルは主張した。

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